第75話 領地へ・・・足留め
「畏まりました。では、私達は失礼します」
「アレク様の、お食事も直ぐにご用意してアイザックに、持たせますのでお待ちください」
グレンと料理長が下がって行った。
少し早足ね?フフゥ~ン、アイザックを探すのね?ご苦労様ですわ。
「さぁ、お食事も来ましたわね?お兄様少し私の分をお食べに成りますか?」
「ん?なら、少しくれ。その前にシア」
「なんですの?」
「ルト達に、何かないのか?かわいそうだぞ?」
「あぁ、そうですわね?あ!殿下は、お気になさらずに、お食事を始めてくださいませ?」
料理が冷めちゃうわよ?
「な、なら、先に頂こう」
「ええ。そうして下さいませ」
(ルト、ルクス。これで少し我慢してね?)
チビ達にサンドウィッチと、梨を出す。
わーい
余程お腹が空いていたのか、ガツガツとルクスが食べる。ルトは相変わらずマイペースですわね。
すると、食事を始めていた殿下がまた私を見ているのに気がついた。………なんですの?また、騒がれるのかしら?
「殿下?何かございましたか?」
「いや、今………」
「シア!俺にもサンドウィッチくれ!」
殿下が何か言い掛けたら、ニッコリと微笑んでお兄様が割って入ってきて、サンドウィッチくれと宣った!
「え?お兄様もですか?なら、はいどうぞ」
とサンドウィッチを、乗せた皿を渡す。
おかしいわね?私の食事を少し分ける筈でしたわよね?
言葉を遮られて、話す間を無くした殿下だが。アレクお兄様が私から皿を受け取り、食べ始めるのを、待っていたかの様に私に話をしてくる。
「パトリシア嬢?サンドウィッチと言うのですか?それは?」
殿下がアレクが食べている皿を見ながら聞いてくる。
「ええ、そうですわよ?」
「私も食べて見たいのだが、良いかな?」
「はぁ?い、いえ。殿下にこの様な物は……」
出せるわけ無いじゃないの!あ……っ、でももう今更なのかしら?
「大丈夫だよ。それに今更だよ?パトリシア嬢ハハハ」
「ですが、殿下。先ず先に、料理長が待ってきたお食事を、食べて下さいませ。食べ切ってしまわれて、お腹に余裕があるのでしたら。殿下にもお出ししますわ?」
「何故だ?私もそれを食べて見たいのだが………」
それ、と言うが……。言わないと分からないのかしら?
「シア、俺が言うからお前は食事始めろよ?冷めてるぞ、それ」
「え?あぁ、冷めていましたしたね」
ちょっとショボンです。熱い内に食べたかったですわね。
「だろう。殿下の我が儘を聞いてると、シアが食事も出来ないよ?」
「それは…………、済まなかった。私の配慮が足りなかったね?なら、食べようか?」
素直に食べ始めてくれたわね?まったく子供ですか?
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