第72話 領地へ・・・足留め

 料理長に追い払われる形で、クレマンド殿下と二人でテーブルに着くけれど…………。

 何を話せば良いのやら?ネタが思い付かない。


「……………」

「…………で、殿下?私はお兄様達を呼んで参りますので、少しお席を外しますわ?」


 椅子から立ち上がり、席を離れようとするとクレマンド殿下がパトリシアの腕をつかむ。


「お待ちください?パトリシア嬢、少し私と話しませんか?(君の兄達は、邪魔だよ?パトリシア)」

「で、ですが………」


(何を話すの?話題もないわよ、私は殿方と話すのは苦手なのよ!あの馬鹿達のせいで、殆んど殿方との交友関係はないのよ!)


「パトリシア嬢?どうされましたか。さぁ、椅子に座り直して下さい。さて………何を話しましょうか?私は、ご令嬢と話すのは苦手なんですよ?」


 フフフと笑う。

 苦手ねぇ……?

 あ、あれ聞こう!とっさに思い付いた。


「そ、そういえば……お聞きしていませんでしたが」

「なんですか?パトリシア嬢?」

「失礼かもしれませんが?殿下は、おいくつでいらっしゃるの?」

「……え?」

「ごめんなさい。失礼でしたわね?私は隣国の事に詳しくはなくて」

「あぁ、そうですか?(言ってなかったね?そういえば、私も目の前のご令嬢の情報は知らんしな)そう言えば、言ってませんでしたね?暫く一緒に居たのに、迂闊でしたね?」

「あ、いえ!飛んでもないですわ?私達の紹介も名前だけでしたもの」

「私は第二王子で、年齢は22才ですよ?」

「まぁ、ヴァンスお兄様の一つ下なのね?」

「え?そうなのですか、よかった!馴れ馴れしくしなくて」

「フフフ。殿下、なんですのそれは?」

「いや、年は近いのかな?とは思って居ましたがね、軽口を利くのも、どうかと思って居たので?」

「それは、お気になさらなくても?立場が違いますし。隣国とはいえ王族の方ですもの殿下は」クス

 年が離れてるわね?なら、圏外ですわね。

 と、ホッとする。


「ご令嬢に聞くのも失礼だが?パトリシア嬢のお年は……?」

「あら?淑女に、年をお聞きに成るのかしら?」

「アハハ。失礼は承知のうえだよ?」

「まぁ、ハッキリ仰るのね?良いですわ教えて差上げますわよ?良いですか実は!」

「実は?」

「……教えて上げませんわ。フフフ!」

「それは……狡い、お答えですね?パトリシア嬢から聞いてきたのに?」


 

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