第64話 領地へ 無下には出来ない。

 そんなこんなで更に日が経ち、目の前に広がる大きな川を渡れば、後10日も掛からずに、領地へ戻れる距離の所で、何故か……足止めをされています。


 川に着く数日前に大雨が降り、川の水位が上がり川の流れが激しくなって。橋が壊れてしまい。向こう岸に渡れなくなっていると、先に出ていた騎士達から報告があり。川に差し掛かる手前の草原で、野営をする場所はここにするかを決めかねていて、今お父様とお兄様達とで話し合い中です。


 何故、草原で野営なのか?それは川の近くに村が有るのですが……。

 小さな村なので、私達が村の中でお世話になって仕舞うと、他に足止めをされている方達に迷惑が掛かるとのことなので、村から離れた場所を探し今ここです。


 既に時間は夕方に近いので、この場所で野営は決まりでしょうね?


「父上、どうしましょうか?一応ここで野営しますか?」

「そうだな……食糧はもつのか料理長?」

「食糧なら、まだまだ有りますよ。心配なさらずに旦那様」

「そうか……なら、ここで待つか?川の流れが緩やかになったら、向こう岸に渡れる船も有るだろう。それまでここで待機だな……」


 お父様達が話してるのを横目に、私はぼんやりと考える。

 あの川の流れが、治まって来るのって3~4日は掛かるわね?


 なら、その間何をしましょう?

 退屈よね?辺りは草原で何もないわよね?

 でも草原って草花多いわ!もしかして鑑定したら薬草があるかも……鑑定……。


 あった!薬草!


(ルクス、ルト!)


 チビッ子達を影から呼び出す。


《何、ご主人》

《何々……主》

(あの辺に、薬草あるのよ!取ってこれるかしら)

《何処ぉ~》

(ほら、あの辺よ)


 指で場所を指すと、ルトが分かったのか?

 ルクスの背中に乗って走って行った!


「凄いわね!分かったのかしら……」


(ルクス!気を付けてね?)


 声を掛けてチビッ子達が、薬草を探しているのを眺める。


 すると、後ろからルーベルト殿下が声を掛けて来る。


「おや?君の従魔達は、何をしてるのだい」


 ルクス達が草の中で駆け回るのを、眺めて何をしてるのかと聞いてきた。


「え?あぁ。あの辺に薬草がないか探して貰ってますのよ?それより殿下は、どうされたのですか?」

「ああ、どうやらここで数日足止めだと、聞いたのでね?ここは一つパトリシア嬢と、もっと親密になりたくて……ね?」ニコリと笑う。

「はぁ~親密にですの……なぜ?」

「それは、貴女が魅力的だからですよ?」

「………はぁ~」


 また、随分とストレートに言ってきたわね?

 どうしましょうか。


 悩むわぁ~。他国の王子様を無碍にはできませんもの………。


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