第63話 領地へ ちょっとだけ秘密の部屋を解放しますわね?
「そうだわ。殿下がお暇な様でしたら、こちらで遊ばれては?」
出して見せたのは、トランプです。
…………知ってるかな?
「ほぅ……。これは……カードですね?」
知ってたか!これは引っ込める事が出来ないわね?ビックリするかと思って出したのに。
「……ええ、御存じでしたか?」
「私の国には、輸入した物があるので入って来てるよ?遊び方は色々あるみたいだがね?」
「そうでしたか?なら退屈はしませんわね?これ、置いておきますわ。では?そろそろ出発の準備も出来てるでしょうから。私はここで……。側近のお二人も、外に出て準備をお急ぎ下さいませ?では、失礼をしますわね?」
「ああ。わざわざありがとう。パトリシア嬢、また夜に?」
「ええ、また後で」
そう告げて、ニコリと笑って馬車を降りた。
《主?》
(なにかな、ルト)
《今の人は、好い人だね?》
ルト……何故疑問系?
(あら、そうなのルト分かるの)
《うん!僕らは主の守護従だからね!人の波動は、読めるよ?ルクスもそうだよ》
(そうなの?凄いわね)
《うん!凄いでしょ。主!だからね守ってあげるからね!》
(ありがとう。宜しくね。大好きよルト)
《フフフ。ボクも主が大好きだよ》
自分の馬車に戻りながらルトと話して歩く。
「お兄様、戻りましたわ?」
馬車の扉を開けて兄を呼ぶ。
すると、のっそりと奥からグレンが現れて冷たい目をして兄が居ない訳を話す。
「パトリシアお嬢……様アレク様なら外ですよ?」
そう言われながら、リビングのソファーに座る。
「あ、あら、そうでしたわね。私ったら、疲れてるのかしらね。フフフ」
「それはいけません!早くお部屋でお休みになって下さいませ?エルサ!」
グレンに、呼ばれたエルサが慌ててリビングに来る。
「グレン、どうしましたか?」
「のんきだね?君は……。パトリシアお嬢様がお疲れの様です。少し自室でお休みになってと、お話をしていた所です」
「まぁ、お嬢様。それはいけませんわ、長旅でお疲れが出たのでしょう。さっ!お部屋に戻りましょう」
なんだか大袈裟よね?
「大丈夫よ、二人共。心配させてしまったようね。あら、アイザックはどうしたの?」
「そうですか?無理はしないで下さいね。アイザックならアレク様と外です」
「あら、そうなの……」
「ええ、お昼のうどんが、随分と美味しいかった様ですよ?」ハハハ。
まぁ、私もけっこう食べましたがね?と言うグレンである。
「あらそうなの。それなら二人が居ないし……少し秘密のお部屋で遊びますか。グレン?」
「パトリシアお嬢様、宜しいのですか?」
部屋を使うかと聞くと、グレンの顔がたちまち明るくなる。
そ、そんなに遊びたかったの?
「ええ、私も遊びたいですしね。エルサは、どうしますか?」
「私はご遠慮致します。何故かゲームとやらは私には向かないようですわ?」
「そう?ならグレン、はい。鍵開けたら必ず返しててね」
「承知しました。ああ、お嬢様。ルクスは、お嬢様のお部屋ですよ?」
「そうなのなら、一度私お部屋に戻るわね?そうだ!グレン絶対に馬車が動き出してから、部屋の鍵を開けてね?」
「分かって居ります?流石に、アレク様は私でも怖いので」
ニコリと笑って、グレンが自室に引っ込んで行った。
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