第38話 領地へ お願い

 さて、食事も終わり。ルクスとルトはエルサに頼んで馬車に戻ってもらった。


 いつもならそれぞれの馬車で、寝るだけなのですが今日は少し違います。

 助けてしまった他国の王子様達をどうするか、ご本人達を交えて話し合いですわ……。


 予め話し合いができる様にと、用意をした大きいテントの中で、王子達を招いて話し合いです。


「さて、御食事はお口に合いましたかな、ヴァルガンド殿下」

「ええ、見たこともない食べ方で。驚きましたが……大変美味しく頂けましたよ、ベルガモット殿」


 そう殿下が言うと、トリマンが続けて礼をする。


「本当に。ご子息達に助けて頂けなかったら、今頃はと思うとゾッとしますよ。改めてお礼を。ありがとうございます」


 と側近の三人が頭を下げる。ウンウンこれがちゃんと教育を受けた人の態度よね。


「いえいえ、たまたま。戦闘が見えただけの事です。気にしないで下さい」


 中々話しが進まないから、強引だけれど本題に持ってい来ますわよ?


「まぁ、その事はもう宜しいのでは、それよりも、明日からの事を話しませんこと?」

「ああ、そうだねパトリシア嬢」


 ニコリと私に笑い掛けるクレマンド殿下。

やめて下さい。

 父様やお兄様達が殺気を出すから、話が進まなくなります。


「さ、さて、ヴァルガンド殿下。殿下は御帰国なさるのでしたかな?」

「ええ、そうです。しかし、あの馬車はお荷物に成って仕舞いましたがね」


「はぁ~」とクレマンド殿下と三人の側近のがため息を付く。


「馬車はどうされましたか?」

「ああ、アレク殿に預かって貰って居ますが……。それにしても、ベルガモット家の方達は、優秀なんですね?凄い魔力をお持ちの様だ」

「ええ、まぁ?そんなことは。ハハハ」


 と父の乾いた笑い声が響く。


「それで、クレマンド殿下。ここからの足の事ですが?」

「ああ、それですよね?しかし私達では、どうしょうもなくて……正直参ってますよ」

「ここからだと、貴国は馬でどれくらいですか?」

「それに、付いては私から説明します。宜しいですか殿下?」


 側近の一人ベンドと言う男が口を開く。


「ああ、ベンド。頼むよ」

「はい。それでは、失礼して。この場所からですと約1月以上掛かります。馬だけの移動でしたら少しは、短縮出来ますが……」

「そうか、さて困ったな。ベルガモット殿は?明日ここを発つのか?」

「ええ、我々もグズグズは、していられないので」

「成らば仕方ない!ベルガモット殿、お願いがあるのだが宜しいか?」


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