第32話 領地へ 焼き肉パーティーですわ!

 私の合図と共に竈門の側で待機していた、料理人達が次々と返事をすると、肉の焼ける音が一斉にしだした。

 あ~なんて良い音なのでしょう?そのうちに美味しそうな匂いもしますよ?


 あ!お兄様たちにお声を掛けないと!!

 と思って兄達の元へ行けば、素手に食べ始めて居ました!流石お肉王子です。(笑)


「アレクお兄様?お肉美味しいですか?」

「ん?シア。ムグムグ……ゴクリ。もちろんだ旨い!」


 肉を口にほうばりながら、箸で肉を持ち上げて上機嫌で答えてくる、アレクお兄様です。

 よっぽど、お腹減って居たらしたのね?


「お兄様、ルクスにも食べさせて下さいね?」

「わかった!ルクスおいで一緒に食べよう」

《わぁ~い》

(ルクス、お兄様とお食事しててね?)

《うん、ご主人お肉食べる!!!》


 そしてその場を離れて、横目に入ったのがヴァンスお兄様だが……まさかのクレマンド殿下をご招待していましたよ?チャレンジャー!!

 そぉ~っと気付かれないように、その場を離れ……られませんでした。見付かりました。


「おいで、パトリシア!こっちだ」


 みつかったわぁ~仕方ない……行きますわよ。

 諦めてヴァンスお兄様の側に行く。


「ヴァンスお兄様、お呼びですか?私も、あちらでお食事をしたいのですが?」


 アレクお兄様が座る席をさして見ますが……。

 空かさずクレマンド殿下が、私に声を掛けてく来ます。無理でした……。


「食事ならここで御一緒しませんか?パトリシア嬢?しかし大丈夫ですか?先程は体調が良くないと伺ったが?」

「ええ、もう大丈夫ですわ。ご心配下さり、ありがとうございます。それでは、失礼して御一緒させて頂きますわ。クレマンド殿下、お食事はお口に会いまして?」

「あぁ、見たこともない食事だが旨いな?この肉は、何の肉だ?」

「これはボアの肉ですわ、殿下はお食べに成ったことが御座いませんか?」

「これがボアか?旨いな?この黒いものもうまいな?」

「あ、これはタレと言いますの、我が家の秘伝ですわよ?」


 焼けた肉をタレに着けて、パクりと食べる。

 ん~美味しい!!

 あ!パンに野菜と一緒に挟んで食べよう!!


「お兄様!パンに野菜と肉を挟んで食べると美味しいですわよ?」

「ん?どれ……」


 てきぱきと肉と野菜を、挟んでヴァンスが豪快に手で食べる。


「う!旨いパトリシア、お前も食べなさい」

「ええ、お兄様。あ!ルト。忘れてたわ」


 そう思って、ルトを影から呼んだ。


(ルト、なに食べる?)

《主。ボクはその野菜と、リンゴ食べたい》

(ん?人参とキャベツでいい?後でリンゴあげるわね?)

《うん》


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