第31話 領地へ 招かれたもの達は。

 一方、テントに案内をされたクレマンド達はテントの中の広さに驚く。

ベットが人数分と、その中央には軽食がとれるテーブルにソファーがあった。


「こ、これはまた」


 中に入って直ぐに驚きの声を出した側近達。

 すると、家宰のクレオがテントの中の説明を一通りして説明を終わらせた。


「それでは、ヴァルカンド殿下御一行様。今晩は、こちらでお寛ぎ下さいませ。何か御座いましたら私共使用人に、お声をお掛け下さいませ。もう暫くしますと、御夕食のお時間になりますが。どう致しますか?こちらでお召し上がりになりますか?それであれば、御用意いたしますが?」


「殿下、こちらでお食事してください」

「何故?ケレス……。ここで食事をしたら私はお前に殺されそうだな?そして、私が死んだらこちらの、ベルガモット家に罪を被せる。そんな考なのだろ?だったら私はあのベルガモット家の方達と食事をするよ」


 私は魔だ死にたくは無いからね?


「殿下そんな!私は貴方の側近です。殿下の命を守るのが仕事ですよ、そんな私が何故殿下の命を狙うのか?」


 意味が分からないと言うケレス。


「ああ、クレオ殿。お見苦しい所を見せてしまい申し訳ない。すまないが食事はベルガモット家の方々と、御一緒しても良いだろうか?」


 見苦しいところを見せたと詫びて、クレオに頼む。


「畏まりました。それでは主人に伝えて参りましょう。お食事の支度が出来次第メイドに、お声を掛けさせます。それまで暫しお寛ぎ下さいませ。私はこれで失礼させて頂ます」 


 言い礼をして、クレオがテントを出て行った。

 クレオがテントを出ていくのを見送ると、クレマンドがトリマンに話し掛ける。


「さてと、トリマン」

「何でしょう殿下?あ、お茶いれましょうか?」

「お願いするよ、疲れたよ。私は………」


 そう言うとクレマンドは、ギロリとケレスを睨む。

 睨まれた本人は、全く気づかない。

 どれだけ鈍感なのだろうかと、呆れるクレマンド達である。


「取り敢えず殿下。この先はどう致しましょうか?」


 トリマンが入れたお茶を、クレマンドの目の前に出し。今後の話をするつもりだったが、クレマンドが話を反らした。


「そうだな?先ずは腹が減った……よ!」

「プッ!アハハ!殿下。先の話をしませんと!ハハハ」

「何か?切実だぞ。なぁベンド、バルカン」


 ケレスを全く無視をして、たわいもなく関係の無い話を進めていく。


「「は?」」

「ほら、殿下のご冗談だ!」

「あ、そ、そうでしたか?しかしこの中は。素晴らしいですね?ちゃんと、一人一人が休める様に、仕切りがしてありますよ?」

「ああ、全くどんな贅沢な貴族なのか?殿下はご存じで?」

「すまん。詳しくは知らんよ?」

「そうですか?」

「ああ」


 約一人が居るために、知っているが知らない振りをするクレマンドだ。

 それに、気づいた側近3名はそれ以上の情報を漏らすことはしなかった。


 暫く下らない話をしていると、メイドから食事の支度が出来たと声が掛かった。


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