第27話 領地へ 愚か者のすることは?

 剣に手を掛けたケレスを止める。

 クレマンド殿下の側近達が、バタバタして騒がしくする。


「な!愚か者!」

「馬鹿が!やめろ!!ケレス!」


 と他の三人の側近がケレスを羽交い締めにする。


「離せ!お前ら離せ!!」


 暴れるケレスを地面に押さえ込む。

 そしてクレマンド王子がケレスを叱咤する。


「何してるんだ!ケレス!貴様が、その剣を抜いてアレク殿に刃を向ければ。どんな事になるのか!わからんのか!この、愚か者の白状者めが!恥を知れ!」


「で、ですが。殿下、私をいえ!我がアルバドラドを馬鹿にされました!」

「はぁ?どこに我が国を馬鹿にした者が居るのだ?」

「馬鹿だよなぁ~。自分が、融通の利かない愚か者と図星をいわれて、逆上するなんて。馬鹿のやる事だ」

「こ、こら、アレク煽るな!」


 ヴァンスが慌ててアレクを止める。


「それは、申し訳ないです。ですが兄上!

ここにこうして、止留まって居るだけで。一向に動きもせずに。何も考えを出さない人が居るのでは、私達は動きようがないですよ?先程から、馬車に拘って居るようですが?そこの拘っている方、何か馬車に隠してるのですか?それとも離れ難いだけなのですかね?先程、こちらの方からのご意見にあった通り。ここにお一人で、残って下さいませんか?」


 迷惑なので。


「まっ!アレク殿の言う通りでそれが正論だ。ケレス!お前どうするのだ?」

「で、殿下私は、馬車を直して早く祖国に帰りたいだけです」

「答えになってないが?そもそもどうやって馬車を直す?」

「そ、それは………」

「おい、ベンド、バルカン馬車を見てくれ。ケレスの馬車に対する執着が怪しい。トリマン、ケレスを押さえろ!」

「「「は!」」」

「で、殿下私は、何もない隠している事などない!殿下いくら殿下でも失礼だ!」


 そう言って文句を言い騒ぐ。


 そして、命令をされた側近が達が馬車の中と外側を隈なくうろうろと何かを探す。


 すると、側近の一人バルカンがなにやら手に乗るような小さな布の袋を見つけ、クレマンドの元へ戻って来た。


「クレマンド殿下。これを見つけました」

「これは?なんだバルカン」

「さあ、私にはなんとも……みるのも初めてですが?」

「すまん。誰か、これが何か分かる者は居ないか?」

 と、手で小さな袋を持ち誰の目にも見やすいように持ち上げる。

 すると、アレクが失礼と言ってクレマンドから袋を見せてくれと願い出る。


「クレマンド殿下。それを見せて貰っても?」

「あぁ、わかるかい?アレク殿」

「少しお待ちを?」


 ……シアが居れば一発でわかるのだがなぁ~?仕方ない戻って聞くか。



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