第9話 ~ パトリシアざまぁ出来た?前編 ~

 渡された大銀貨を眺めて、国王が残念そうにマルコシアスに訪ねる。

 自分の息子を売っておいて残念がる父親。

…………屑の極みだ。


「マルコシアスこれは、二人分か?」

「ヒヒヒ。そうで御座いますよ?ヒヒヒッ。なにぶん魅力も、価値も御座いませんよ。奥に居られるご令嬢ならばそうですね……白金貨を数枚出しても売れますがね?ヒヒヒッ」


 何とも……いつの間に気が付いたのか…。てか、気分が悪いわよ!


「そ、そんなに差があるのか……」

「ヒヒヒッ、そんなにで……御座いますよ。では、陛下。私共はこれにて失礼しますよ?ヒヒヒッ。おい!こいつらを連れていきなさい!ヒヒヒッ」


 一連の動きを見ていて、出るならここよね?良くわからないけれど?兄達の了解は得ているので結界を解く。

 そして玉座の後ろから出て、連れていかれそうな二人を止める。


 さて、始めましょうか?

 ……………私のざまぁを。


「少し、お待ちに成って下さらないかしら?私にも一言、いわせて頂いても宜しくて?」


 突然の、パトリシアの登場で場が凍る。

 その言葉を聞いた、奴隷商人がピタリと止まり……振り返えると凍った場の空気を粉砕する。


「おやぁ~これは、これは?何方かと思えば……悲劇のヒロイン様では、御座いませんかな?」


 マルコシアスの嫌味を聞いた、クレール王子が何故か反応して、パトリシアを庇うようにマルコシアスの前に出る。


「マルコシアスと言ったか?お前馬鹿にするなよ?仮にも公爵家のご令嬢だぞ」

「おやおや、第二王子様まで……このご令嬢の美貌に骨抜きですかな?ヒヒヒッ」

「ぶ、無礼な!」


 面倒なのが出て来たとパトリシアはクレール王子を邪魔に思う。今更……何を思って私の前に出てくるのか?さっぱり分からないが、邪魔である事は確かだ……退いてくれないかなぁ~。

(仕方ない此処は納めるか、面倒臭いな!)


「クレール殿下。庇って下さり、有り難う御座います。ですが今の私の立場は噂の的……悲劇の公爵令嬢なのでしょうね?ですが、私が望んだ訳では御座いませんし、その様な汚名は返上したいですわね。それにしても、このような下賎の方に言われると少し辛いですわね?」


 嫌みが効いたのかな?殿下がその場から一歩下がってくれたので、後は無視ですよ!


「ヒヒヒ、私目を下賎と申しますか?ヒヒヒ。まぁ、お綺麗な場所でお育ちに成られれば、そうで御座いますかな。ヒヒヒ、それで?私共をお止めに成り。如何しましたかな?ヒヒヒ」

「ええ、少し時間を頂きたくて、良いかしら?マルコシアスさん?」


 マルコシアスは、パトリシアの度胸に少し目を開き驚くが関心もした。


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