第32話 領地に帰る前の準備 32

「ルクス、ルト戻っておいで」


 私が二匹を呼び、戻って来ると膝にジャンプして乗って来くる。


「「あぁ・・」」


 お二人とも残念そうですが……まだ家族の紹介が済んでませんよ。


「ルクス、ルト、あちらに居るのは、私のお兄様達よ。ご挨拶する?」


《ご主人の家族だもん出来るよ!》

《僕も僕も、お母様良い匂いがしたよ?今度はお兄様?》

(ええ、そうよ)


「お兄様達?この子達ご挨拶したいと、言ってますわ?良いかしら?」

「「あ、あぁ」良いぞ」


 ならば、はいどうぞと二匹を抱いてヴァンスに渡す。


「お、おおっと、パトリシア危ないぞ!落とす……」


ヴァンスがバランス良く二匹を膝に乗せた。

二匹がヴァンスをじぃーっと見つめる


《ねえ主?》

(なにかな?)

《主?ぼく、この人ちょっぴり嫌だなぁ……甘いの》

(あ、甘いの?でも、我慢出来るかしら?)

《うん……大丈夫だと思うけど……》


 ルトとそんな話をしてると、心配そうにアレクが声をかけた。


「パトリシア、どうした?」

「い、いえ、何か甘いんですって。ルトが、ヴァンスお兄様を、甘くて苦手だそうですわ」

「ぷっ!甘くて苦手?何だそれは?ハハハ」


 アレクが笑う。

 笑われている、ヴァンスはルトを抱き上げながらルトに話す。


「おい!ルト!酷いな?私はヴァンスと言うよ?宜しくな」


 そう言ってルトの鼻に、自分の鼻をチョンと着けて挨拶をしたら今度は、ルクスが狡い僕も挨拶すると言い出し兄に伝えたら、ルトと同じく抱き上げて鼻を着けて挨拶をしてくれました。


 ……でも甘くて苦手って、何かしら?

 残りはアレクお兄様です。


「ほらアレクも、この子達に挨拶だ!」


 ヴァンスお兄様が、アレクお兄様に二匹を手渡しするとそっとアレクお兄様が受けとる。


「お前達良かったな、森で会った時はビックリしたが、こんなにかわいいのか?私はアレクだ宜しくな」


 そして、二匹を抱え挙げて挨拶をしてくれました。


《わぁいー!僕達にお兄ちゃんが出来たの?ねぇご主人?》

《ねぇねぇ主僕にも?お兄ちゃん?》

(そうねぇ?成って頂けるのかしら?本人に聞いて見たら?ルクス、ルト?)

(二人のお膝に乗って、目をじぃーっと見たらわかるかもよ?)


 ヴァンスの膝にルクスが、アレクの膝にルトがのり二匹がそれぞれの兄の顔をじっと見つめる。

 その二匹の凝視が、兄達には理解が出来ないと私に訳を聞いてくる。


「おい!パトリシア何を言ってるのかな?」

「お兄ちゃんに、なってくれますか?ですって」


「それは、もちろんだ!こんなにかわいい弟が二人一辺になってくれるのかい?嬉しいなおい!ルクス」


 ヴァンスお兄様がルクスを、モフモフし始めましたよ。

 アレクお兄様もルトを、モフモフし始めた。

どうやらお気に召したようですわね?

 パトリシアはほっと肩を撫で下ろした。


 どうやら二匹は、家族に受け入れられた様で良かった。


 そして忘れては、行けない専属執事達に私が一喝です。

 後ろに控えて頂いた者に慣れて貰わないとね?


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