第31話 領地に帰る前の準備 31

 固まる父は、放って置いて次はどうやら母の所に向かいましたよ。チャレンジャー。


 すると母も父と同じに手を出した。

 やはりルクスは、母の指を『ペロッ』っと舐めてご挨拶しルトは母の手を伝い、肩まで登って頬にチョンと鼻先を着けてルクスの背に戻る。


 その光景を見た私は一瞬でキュン♡です。


 お母様が……固まって直ぐに戻ってきました。そして照れてます。


「あ、あら……嫌だわ……何てなんて、かわいいのかしら?わたくしにご挨拶してくれたの?」


 私の顔を見て確認してくる。


「そうですわ、宜しくね母様。だそうですよ?」

「あらぁ~なんて、かわいいのかしら。ねぇ、お名前なんて、言うのかしら?パトリシア」

「え、あぁ……フェンリルが、ルクス。カーバンクルが、ルトですわ」

「そう。私のお膝にくる?ルクス君とルトちゃん母様の、お膝にいらっしゃいな」


 両手を広げて招く母の姿が何とも可愛らしい事。

 すると、固まって居た父が負けずにルクス達を呼ぶ。


「ルクス、ルト、父様の膝においで……」


 そして、二匹が私の顔を見て困ったと言う。


《ご主人どっちに行ったら良いの?僕達わかんない》


(あらら、どちらでも良いわよ?何なら私の所に戻っても良いけれど……それは、不味いからルトお母様の所に、行って差し上げて?ルクスご免なさいね、お父様の所に行ってあげて?)



 二匹が別れて父と母の所に飛び込んだ。


「なんて、なんて、かわいいのかしら触りごごちがモフモフだわルトちゃん、かわいいわねぇ~♡」


 あ!お母様の語尾に♡が付いた気がする。(笑)


「おお、かわいいな、ルクス毛がふさふさだぞ、おい!かわいいなぁ~宜しくな、父様って呼んでくれるのかい?良い子だね?宜しくなルクス、ルト」


 こちらもデレデレですねぇ。

 チラリと兄達を、見たら羨ましそうにしてました。(笑)


 触りたいのかしら?

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