第11話 卒業パーティー会場で婚約破棄 3

 さっさと帰りたいなぁ~。

 お腹すいたしお風呂も入りたいなぁ。

 場違いな事を考えて、陛下と王子のやり取りをボンヤリと眺める。 


「馬鹿を申すな!お前の婚約は幼い頃、お前がパトリシア嬢を気に入ったと申すので、婚約をしたのであろう?今さら何を馬鹿な事を申すのだ!ほれ、早く詫びてパトリシア嬢をエスコートしなさい!」

「いいえ!父上、私は本当の愛を見つけたのです。ですから、パトリシアとは婚約を解消致します。こんな意地の悪い女など、私に相応しくない!」


 そんな、事でしたか……ならばの言葉を利用させてもらいますわ!

 しかし本当の愛ね、片腹痛いわ何が本当の愛だ!

 そんなもので茶は沸かせんわ!フン!

 何が幼い子供の頃私を気に入っただ?そんな素振り1ミリも、見させなかっただろうが!意地が悪いのはお前だ!


「あぁ…お父様酷いですわ、なんて卑劣なんでしょう?王家の方は、何故こんなにも…酷い仕打ちばかり私にするのでしょうか?何の恨みが、私にあるのでしょうか?」


 分かりませんわ!と言って父様に泣き崩れる様に寄りかかる。


「パトリシア……可哀想に。こんな酷い家族が居る国にはもう、居られんな?一緒に領地へ帰ろう」

「………良いのですか、お父様?」

「あぁ、王都には金輪際来る事はせんよ」


 そんな三文芝居を父としていると、後ろから兄様達が割って入り援護する。


「父上、パトリシアがどうか致しましたか?」

「あぁこれは陛下、私の妹が何か失礼を致しましたか?」

「おお、ヴァンス殿とアレク殿か!いや私の息子がそなたらの妹、パトリシア嬢に婚約破棄をな...」


 トホホホと、肩を落とす。


「そんな無体な!王家が無理やりパトリシアと婚約をと、申し出ておいて。パトリシアの自由を何年も奪っておきながら、今さら何を仰るのでしょうか?」


 ヴァンスお兄様は、私が婚約破棄をされたと聞いてルーベルトに問う。


「ルーベルト王子、これはどう責任取るおつもりでしょうか」


 そして、ギロリとヴァンスが王子を睨み威圧する。


「ヒッ!」と悲鳴を上げるが何も言わない残念王子。


「父上、ヴァンス兄様ここは祝いの場です。他の生徒達も居りますし、この話は日を改めませんか?パトリシアを屋敷に帰して、休ませないと」

「アレク、そうだな...そうしょう。パトリシア行くぞ?歩けるか?」

「はい。お父様………大丈夫ですわ」

「「「では、陛下、御前を失礼致します」」」

「ま、待ってくれぬか別室を用意する。兎に角待ってくれぬか」


 国王陛下が頭を下げる勢いで何とか私達を止める。

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