第12話 卒業パーティー会場で婚約破棄 4
そこに王妃が私達の元まで来て口を挟む。
「ベルガモット宰相………」
「これは、王妃様どうされましたか?私達一家は、今から御前を失礼致しますが?」
「ええ、聞いておりましたわ。パトリシア、ルーベルトが愚かな事をしたわ。ご免なさいね?この話しはまた、日を改めて致しましょう」
王妃が私に謝るが……全く詫びの言葉に悪いという感状が私には読み取れない。
私はお父様に抱き付いたままで、王妃に顔を見せずに居る。まあ泣いてると思ってくれると有難いわ。
「だ、だが妃よそれでは……」
「黙っらっしゃい!これ以上、恥の上塗りは避けなければなりません。下がりますよ!ルー、貴方もこちらへいらっしゃい!」
ベシリっと、扇子で王子の頭を叩く。
「痛い、母上。私は、まだエミリアと……」
「何を、馬鹿な事を言っているのかしら?良いから帰りますよ」
ベシリともう一度王子の頭を叩く。
「痛いです!母上、私はエミリアとこれからダンスを踊るのですよ。そのために来たのですから。それに、見てくださいエミリアのこのかわいい姿を!」
ピンク色の髪が、印象的だが品の無いドレスを着た娘を、かわいいと言う息子に腹が立って怒鳴りつける王妃である。
「いい加減になさい!それと、そこのエミリアと言ったかしら?」
「は、はい………」
「貴女は、何故ここに居るのかしら?」
「わ、私は。ルーベルト王子様に誘われて…来ましたのよ?」
「……誘われたね?貴方…口の聞き方も知らないのかしらね?」
ギロリとエミリアを睨む。
「ルーベルトに誘われたからと言って、何処にでも入れる訳ではないのは、御存じかしら?頭が悪いのかしらね?」
「ひ、酷いわ!ルーベルト様が私を妃だと言ってくれたから、ここに来たのに……」
そんな馬鹿な話を聞いた王妃が、顳顬に指を当てて呆れた様子でルーベルトに言う。
「ルーベルト、この方はやめて下さいましね?」
「な、何故ですか?母上、エミリアは素晴らしい女性ですよ」
今度は、王妃が思い切り王子の頭を扇子が壊れるくらいに強く頭を叩いてるわ!
フフフ、これは面白いですわ。
「痛い!!母上痛い」
「さっ行きますよ!皆様私達はこれで、失礼致しますわね。ベルガモット宰相、また日を改めて」
王妃と陛下が、バカ王子を引き摺り会場から去って行った。
それを見送って、騒ぎの中心であるベルガモット家も退室をする。
「それじゃ、私達も行こうか?ほら行くよパトリシア」
「ええ、あ!お父様少し待って下さい。卒業生の皆様、お騒がせ致しました。どうぞこのまま卒業パーティーを続けて下さいませ」
パトリシアが、卒業生全員に分かる様にお辞儀をしてその場から立ち去って行った。
あぁ~。せっかくの卒業パーティーなのに台無しだと、その場に居た卒業生全員が思う。
これも、皆あの馬鹿王子のせいだと関係者一同の意見が一致する。
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