第9話 卒業パーティー会場で婚約破棄 1

 未だ始まらない式を待ちながら三人でお喋りの華を咲かせていたら、周りがざわざわと騒がしくなる。


「何かしら?」


 扉の方で騒がしくしている人物が居た。

 そこに目を向けると、見覚えがあるわあのシルエット…何て情けない後ろ姿なのかしら。


 兄様達とは大違い。

 情けないあれが未来の旦那様だと思うと、泣けてくる。

 なんか転生しても苦労はしろよって、言われてる気がするわ。


 あら、まじまじとあれを見てしまったわ…イケナイ、イケナイ知らない振りだ。


 騒ぎから背を向けまた女三人で話しを続ける。


「パトリシア!!」


 後ろから、私を呼ぶ聞き慣れた声がしたのでゆっくりと振り向いた。

 友達二人に、苦虫を噛み潰したような顔を見せるが振り向く直前に、笑顔を張り付ける。


「あら、ごきげんよう。ルーベルト王子様?お隣の女性は何方様ですの?」


 王子に顔を向け挨拶をする。

 あらら、このお馬鹿さん。無関係などこぞの女を連れて来たぞ?何してるのかしら?

 もう直ぐ私とお前の両家が集まるのに、何故部外者連れなのか?馬鹿は、やっぱり馬鹿なんだなぁ~。


「お前!このエミリアを知らないと申すのか!」

「ええ存じません。ねぇ二人とも、この方ご存じかしら?」


 後ろに、振り向き友に聞いてみる。


「「パトリシア様、私も存じ上げませんわ」よ」

「そうよね?何故お見掛けした事もない方を、私が知って居ると?」

「嘘を申すな、知って居るはずだぞ。お前私の可愛いエミリアに、嫌がらせをしていたそうではないか」

「はい?私がこの方をですか?全く身に覚えが御座いませんわ。ルーベルト王子様、言い掛かりも大概にして下さいまし」


「い、言い掛かりだと!なにを言う。お前が、エミリアにさんざん嫌がらせをしてたのは知って居るんだ。正直に申せ!」

「申せも何も……?その方、学園で見た事も無いですわよ?大体その方は、学園の生徒ですの?私は、存じませんわよ。そんな方に、どうやって嫌がらせをすれば、良いのかしら?」


 大体初見の方に、何故嫌がらせできるのか?少し頭を働かせれば、分かると思うのだけれど……。

 そんな事を考えると、眉間に皺が寄る。

 おっとイケナイわ!人前でしたわね?クス。


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