第8話 卒業パーティー会場にて 4

 誰が漏らしたのか、ため息が聞こえた。


「全くイリア俺が居るのに!他の男からの誘いは直ぐに断れ!あっちで見ていて焦ったぞ」

「私もだ!マリ!」


 と言って、二人が保護者席を指す。


「ご免なさい。だけれど、ちょっと面白かった物ですから」クスリ。

「私も、ご免なさいルベルト。でも、パトリシアが断ってくれると思いまして」エヘっと笑う。


 マリエール私のせいなの?


「もぅ~!マリエールったら、イリアも!お二人共ご紹介して下さらない?」


 じゃないと、お礼が言えないわよ。ニコリと笑い覚れよ!と二人に軽く威圧する。


「あ、あらご免なさいね?パトリシア。私の婚約者で…」


 スッと一人が前に出ると、自己紹介をしてくれた。


「お初にお目にかかる。私は、マクシミリアン・モリッシモと申します」


 清潔感のある年上の男性が、腰を折り挨拶をしてくれた。恐らく、二人の兄達と余り年は変わらないだろう。イリアにお似合いね。


「パトリシア、こちらは私の婚約者の」


 マリエールが婚約者の腕を引き挨拶と小声で唯した。


「ああ…私もだな?お初にお目にかかる、私はルベルト・ノアリバーンと申します」


 こちらの男性も、兄達と余り年は変わらないと思う。やはりマリエールとお似合いだ。


「お二人共、ご丁寧にご挨拶を有り難う御座います。私は、パトリシア・ベルガモットと申します。先程は困って居たのを、助けて頂き有り難う御座います。いつもイリア、マリエールにはお世話に成って居ますわ」


 イリアと、マリエールに微笑んでその婚約者達にも微笑んだ。


「いえ、自分の婚約者に近付く不届き者が居たので、払っただけですよ。しかし、貴女がベルガモット家のご息女でしたか。お噂はイリアから聞き及んで居りますよ?」


「私もそうです。ですから、お気になさらず。貴女の事は、マリから聞き及んで居りますよ。希に見る才女だとか?本当にお綺麗な方ですね?」


「まぁ……良いうわさでしたら良いのですが?イリア、マリエール私の噂なんて…何を仰って居るのかしら?」

「「フフフ内緒よ」ね」


 全くなにを話しているのかしら?


「ハハハ、そうだな。さて、そろそろ私は元の席に戻るよ。イリア、また後でダンスはご一緒してくれるだろ?」

「ええ、喜んでまた後でね」


マクシミリアンはイリアの手の甲に唇を寄せ、キスをして席に戻って行った。


「では私も戻るよ。マリ、後でね?」

「ええ、有り難うまた後で」


 ルベルトも、マクシミリアンと同じようにして席に戻って行った。


「イリア、マリエール…素敵な殿方ね羨ましいわ」

「フフフ、そうでしょう?卒業して少ししたら結婚するのよ。お式には絶対に呼ぶから来てね?」

「ええ、マリエール是非呼んで?イリアもかしら?」

「そうね、少し時間が掛かるけれど…その予定よ?パトリシア絶対呼ぶわ」

「ええ、約束ね」


 フフフ、と三人で笑って約束をする。

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