第15話 待ち合わせ

 鳥のさえずりで目を覚ました。

 窓から見える景色は青い空がどこまでも広がっていた。


(もう一度この景色ももうこっち側で見れるとはな)


 僕は病弱だったから病院以外でこの景色を見るということはほとんどなかった。

 だが、今日はそんな感傷にひたっている暇は無いのだ。なんせ今日はこころさんとのデートの日なのだから

 僕は寝起きで重たい体を起こし、着替えをすることにした。


         ◇◆◇


「ふぁぁぁぁ。」

 

 今は10時15分。僕は駅前の公園でこころさんと待ち合わせをしていた。別に一緒に家を出ても良かったのだがこころさん曰く


『デートなら待ち合わせでしょ』


 ということらしい。

 ちなみに俺がこんな大きな欠伸をしてしまっている原因は昨日の1件でろくに睡眠が取れてないからである。

 昨日はあの後警察の事情聴取を受け、家に帰ってきたのは深夜1時をすぎた頃だった。


(さて、今日はどこに行こうか)


 特に考えてはいなかったがデートなら無難にショッピングモールとかをぶらぶらするだけでもいいのだと思っている。


「ごめんなさい。待った?」


 そんな事を考えてるうちにこころさんが集合場所に来ていた。


「いや、僕も今来たとこだったから」 


 もちろんこんなこと嘘だ。僕はこころさんが家を出ただろう20分前に家を出ていた。

 『今来たところ』は待ち合わせの暗黙の常識だろう。

 にしてもなんだろう。


(今日の心さんすごく可愛い。)


 いつもと少し違う匂いもするし、服もいつもよりも露出度が高いのにそれを着こなしている。

 多分匂いの正体は香水だろう。


「それじゃ良かった。それじゃ行きましょうか砺波君。」


 僕の手を握って満面の笑みでそう告げたこころさんはいつもより露出度が高い服も相まってそれはもう天使かと思うくらい可愛かった。

 


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