第9話 お風呂
家に着いた僕たちはもはや恒例となったチェスをやっていた。
今のところ19戦僕が全勝している。
僕としてはお風呂にまだ入っていないので入りたいのだ
(わざと負けようかな。)
僕のプライドとしては許さないが明日も学校がある流石にお風呂に入らない訳には行かない。
(仕方ない。負けるか)
◇◆◇
「ふぅ。」
結局あの後僕がわざと負けて今日のチェスは終了した。
(僕は彼女を救えているだろうか)
そりゃ、最初にあった頃よりは笑うようになったし、ゆかりさんだけだった話し相手に『砺波疾風』という僕が増えた。
僕は彼女を救うために彼女に近づいた。だが、結果としてはどうだろうか。二ヶ月でここまでしか進歩がない。
このペースで行ったら多分僕が死ぬほうが圧倒的に早いだろう。
(そうならないためには、彼女との関係を深めないといけない。)
(そのために彼女といる時間を増やした方がいいのではないか、彼女との接触を増やした方がいいのではないか。)
そんな考えが僕の頭によぎった。
だが、僕としてもこの考えは如何なものかと思ったりもするが、結局僕のしようとしていることはそういう事なのだ。
(じゃあ、どうするか。)
今の僕にとっていちばん難しい問題を考えなければならなかった。
◇◆◇
お風呂から上がった僕は自室にて考え事をしていた。お題は勿論こころさんとの関係を深めるための方法である。
僕とこころさんの関係は少し分からない状態にある。
恋人未満友人以上。当事者からしたらこんなふうに言うが傍から見た第三者からしたらただの恋人に見えるだろう。
(ん?恋人?)
僕はこの言葉が何かにひっかっかった。
(そうか!デートだ。デートをすればいいんだ。)
デートをすればこころさんのことがもっと分かるのではないだろうか、浅はかな考えではあるが悪くはないだろう。
しかし、僕がこころさんに「デートしよう。」と言ったところでこころさんがどんな反応を示すだろうか。きっとあまりいい反応は帰ってこないのではないだろうか。
ならば、ショッピングと言う名目で色々なところを回ればいいではないか。またもや浅はかな考えではある。
だが、この時の僕は何かに納得したのか深い夢の中へと堕ちていくのだった。
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