第7話 学校
(暇だ。)
僕は今、教室にて2時限目の授業を受けている。
幸いにも窓側の1番後ろの席なので外を見て暇つぶしができることが救いだろう。
(やっぱり暇だ)
なんでだろうか2時限目の授業はどうしてこんなにつまらないと感じるのだろう。これは多分世界共通の認識ではないだろうか、そんなふうに感じてしまうほどに暇である。
(早く終わらないかな。)
高二の夏になろうかと言うあたり、ほとんどの生徒が各々の進路に向かって勉強を始める頃だ。
だが、僕は違う。余命1年。本の数ヶ月前までは違ったが、未来がない僕にとっての勉強をするという行為は無意味のように感じていた。
(何を考えても暇だ。)
あまりにも暇なので窓から見える空を見る。
鬱陶しいほどまでの晴天。雲ひとつない蒼い空。そこを一羽の鳥が飛んでいく。
(あぁ、やっぱり僕は鳥が好きだ。鳥が力一杯にどこまでも飛んでいく様子が好きだ)
◇◆◇
暇で暇で仕方ない授業も終わり放課後、部活に励む人もいれば友達や恋人と一緒に過ごすなど各々が好きなことをしている。
そんな時僕は図書館に向かっていた。
理由はこころさんに呼ばれたからだ。もちろん何をするかはだいたい分かっている。
図書室に入ると最こころさんは初に出会った時と同じ真ん中の席に一人でいた。勿論図書室に他の生徒はいない。僕とこころさんだけだ。
「遅いじゃない。何時間待たせる気なの。」
こころさんはそんなことを言っているがもちろんそんなに待たせているわけが無い。
「ごめん。それより今日もまたチェスをやるんですか?」
「当たり前でしょあなたに勝つまでやる終わらないって言ったでしょ。」
「そうですよね。でも何度も言いますが僕は負けませんよ。」
「その言葉言ったこと後悔させてあげるわ。」
そんな僕達なりの茶番を挟みながら駒を並べ始めるのだった。
◇◆◇
「…………」
「どう負ける気分は。」
僕たちはチェスをしていた。そして今回はこころさんが僕に初めて勝った。
「…っかい。」
「ん?」
「もう一回だ!」
僕は勝負事は負けたくない主義だ。
「あらあら、あなたがそんなゆ風になるなんてね」
「僕は勝負事は負けたくない主義なんだ。」
「いいわよ。次も私が勝つんだからね。」
「こころさんその言葉そっくりそのまま返しますよ。」
僕たちは放課後はまだまだ長そうだ。
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