第6話 翌朝
「あのーこころさん。今日も学校あるのでそろそろ終わりにしませんか?」
僕達はあの後からずっとチェスをしている。理由は簡単。こころさんが勝てないから。
しかし、現在の時刻は午前3時40分。もうすぐ空も明るくなってくる頃だ。
「何言ってるの。言ったでしょ私が勝つまで終わらないって。」
確かに言った!確かに言って、僕もそれを了承したけれど!
多分この会話を第三者が聞いたら僕がわざと負ければいいと言うだろう。しかし、僕としてもプライドがある。勝負事では手は抜きたくない。我ながら面倒くさい性格をしてると思う。
「ですよね。分かってました。」
「そんなに終わりたいならわざと負けたら?」
(お、いいんですか?)
「でも、そんなことしたら分かってるよね。」
(ひぃ!心を読まないで!!)
「それにそんなんで勝っても嬉しくないしね。」
…………。
「はぁ。眠れそうにないですね。はい、チェックメイト。お話に夢中になってからですよ。」
「あ、ずるい!もう1回。」
そんなことを言いながらコマを並べ直すこころさん。
やっぱり眠れなさそうだ。
◇◆◇
「ふぁぁ…。」
「ねぇ、あなた欠伸これで何回目?」
「そうさせたのは一体誰ですか。」
昨日の夜はあれから40分後にこころさんが寝てしまったので終わったのだ。
「僕が寝れたのは日が完全に登りきってからですよ。」
「う、そう言われちゃうとなんとも言えないわね。」
「眠いし授業サボって寝ようかな。」
幸いにも僕たちの通ってる学校は授業中でも図書室や屋上は解放されている。
それに僕の人生は残り約1年もって桜の咲く時期。ならば勉強する意味はあるのだろうかと考えてしまう。
「授業には出ないとダメ。私が許さないし、いくら人生に役に立たなくても受けることに意味があるの。だから授業には出なさい。」
「ん。分かった。」
そう言われてしまてしまえば出るしかない。出なかったらまた後でなんか言われそうだし。
そんなこんなで僕たちは学校へ向かうのだった。
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