第5話 お泊まり
こころさんの家に来た僕だったが、僕は生まれて今まで女子の家に上がったことがない。
(やばい、変に緊張してた。)
「砺波君どうぞ上がって。」
「は、はい。」
◆◇◆
ここがこころさんの部屋か。
ごくごく普通のリビングルーム。強いて普通じゃないところを言うのであれば部屋が広いことぐらいだろうか。
「こころさんの家って広いんだね。」
「まぁ、そこら辺の家よりかは大きいと思うわ。」
「それじゃあ今日泊まらせる部屋に案内するから着いてきて。」
「え、僕床でも寝れるから部屋なんて用意しなくても大丈夫ですよ。」
「ダメよ。いくら元気でも病人なんだから。それに親は海外に行ってるし、ゆかりは入院中だから実質一人暮らしみたいなのよ。だから部屋は空いてるのね。」
そう言ってこころさんは1つの部屋に僕を案内してくれた。
「ここがあなたの部屋よ。好きに使っていいけど置いてあった物は盗らないでね。」
こころさんが案内してくれた部屋は白の壁紙に薄い紺と黒を基本とした家具や小物が置かれた部屋だった。
「そんな事しないよ。」
泊まらせてもらう身だ変なことをして追い出されても困る。
◇◆◇
「ご飯作るからその間にお風呂入っていいわよ。」
僕も別に料理が出来ないわけでは無い。だから家に泊まらせてもらうお礼と言っては何だが、料理ぐらいは僕がやろう。
「いや、僕が作るよ。その間にこころさんが入りなよ。」
「ここは私の家、だから主人である私の命令。」
そう言われてしまってはどうすることも出来ないので僕はお風呂場へ向かうのだった。
◇◆◇
お風呂から上がった僕はこころさんが作ってくれたご飯を食べていた。
ちなみに料理は野菜炒めに味噌汁、白米といったメジャーでありがらも病院生活をしていた僕に気を使ってくれている内容だ。
そして今はこころさんがお風呂に入っている。
(家にあげてくれていることは嫌われてはいないって思っていいんだろうな。)
僕としてもまさか告白して初日でここまでこれるとはおもってなかった。
「だけどこれって恋愛対象として見られてないってことなんだろうな。」
いつの間にか上がったこころさんがそんなことを言ってきた。
「どうやったらこころさんのことを落とせるか考えてました。」
「そ、そうなのね。」
こころさんは少し恥ずかしそうに返事してきた。とりあえずこの事はバレてないようだ。
「それで、この後どうするんですか?」
現在時刻は午後10時。寝るにしてはまだ早い時間帯だ。
「チェスの続きよ。言ったでしょ私が勝つまで終わらないって。」
(まじですか。こころさん。)
どうやら今夜は眠れないらしい。
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