見えないもの──④

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 唯一無二の最強テイマー第3巻

_人人人人人人人_

> 本日 発売 <

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 よろしくお願いします!!


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 応接室で待っていると、トワさんとサリアさんがやってきた。

 今日はオフ日だったのか、もこもこのルームウェアを着ている。

 この人、こんな服も着るんだ……じゃなくて。



「お待たせしました〜。すみまさん、突然だったので着替える余裕がなくて〜」

「いえ。俺の方こそ、急に呼んでしまってすみません」



 トワさんが対面に座り、改めて説明をした。

 新月草と熔炎結晶は、悪魔召喚に使うという伝説があること。

 熔炎結晶から、セアが求めているものの気配がすること。

 この2つを求めている依頼主に、事情を聞きたいこと。


 言葉を選んで説明すると、トワさんは神妙な顔つきで腕を組んだ。



「陸地に気配を感じる、見えない魚ですか〜……それが、この熔炎結晶から感じるということですよね〜?」

「はい。セアの情報ですが、俺は信じようと思います」



 隣に座り、俺の服を掴んでいるセアを見る。

 セアも緊張したように何度も頷いた。



「セアの求めるものを、依頼人も求めている可能性があります。しかしこの2つは薬にもなる。それを確かめるために、依頼人に直接話を聞きたいんです」



 お願いします、と頭を下げる。

 セアもなぜか一緒に頭を下げた。

 これは賭けだ。トワさんは基本的に、規律を遵守する立場にある。

 ここで拒否されるかもしれないけど、どうだろうか……?



「……コハクさんの言うこともわかります。建前上は薬の研究。しかし裏では……ということは考えられるでしょう」

「なら……!」

「ですが、今件で1人で行かせるわけにはいきません」



 う……やっぱり、ダメか。

 それもそうだ。もし依頼主を怒らせたら、ギルドへの損害も発生する。

 いくらミスリルプレートのハンターだとしても、そう簡単には会わせてくれないだろう。

 でも……これは、人類の進退を決めることになるかもしれないんだ。

 ここで引くわけにはいかない。



「トワさん……!」

「あ、勘違いしないでください〜。誰もダメとは言ってませんよ〜」

「……え? いや、でも今……」

「1人で行かせるわけにはいかない、と言ったのです〜。……私も行きます」



 ……え? 私もって……トワさんも!?



「私が一緒。それが最低条件です」

「そ、そんなっ。トワさんのお手を煩わせるわけには……!」

「ふふ。大丈夫ですよ、これもギルドマスターの仕事ですので。コハクさんを信用していないわけではなく、無用ないざこざを避けるために私が行くんです」



 あ……そういうことか。

 確かに、下手に俺が口を出すよりも、絶対権力であるギルドマスターが直接話した方がいい。

 ここはお言葉に甘えよう。



「わかりました。よろしくお願いします、トワさん」

「は〜い。それでは30分後に、ギルドの前に集合ということで〜」



 俺たちはトワさんに頭を下げると、応接室を出てギルドの前へ向かった。

 セアはフェンリルの背に乗せて、姿を隠している。

 ギルド前の石像の前に立っていると、クレアが俺の肩に座ってそっとため息をつく。



『それにしても、ギルドも用心深すぎないかしら』

「仕方ないよ。過去に、ハンターが依頼人を殺してしまったなんて事件もあったらしいし」

『え、そうなの?』

「他国でね。俺が生まれる前にあった事件だから、だいぶ古いけど」



 理由は、一緒に魔物の討伐に向かった恋人が、目の前で嬲り殺されたから。

 依頼人を殺した後、ハンターは自死。

 自分たちで依頼を受けて身勝手な話だと思うけど、やり切れない気持ちをぶつけたかったんだろう。


 そんなこともあり、ハンターと依頼人は接触禁止になっているんだ。



『ふーん……人間って大変ね』

「気持ちの問題だから、こればかりは仕方ないよ」



 仲間や、家族や、大切な人が目の前で惨殺されたら……俺だって、似たような気持ちになる。

 幸いにもみんな強いから、そんなことは起こらないけど。


 でも、魔王の力は計り知れない。

 もしを考えると……ダメだ、考えたくない。

 頭を振って悪い考えを振り払うと、フェンリルが俺の頬を舐めてきた。



『だいじょーぶだよ。ボクたち強いから!』

「……そうだよね」



 そうだ。みんなは強い。俺がそれを信じないと。

 それに魔王を倒す前に、まだ見ぬ七魔極を倒さなきゃならない。

 そのためには、セアの存在は重要だ。

 弱気なことを考える前に、目の前に立ちはだかる壁を少しずつ越えていこう。

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