特訓──①

【お知らせ】

本日、サーガフォレストより発売!!!!


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   ◆



「……ぅ……うぅ……?」



 ……どこだ、ここは……。


 見覚えのあるようなないような天井。

 それに薬品の香り……病院、か……?



『! コハク!』

「……クレア……それにみんなも……」



 俺の顔の前で飛ぶクレア。それに傍にはみんなもいる。

 みんな心配そうな顔をしてるし……相当寝てたのかな、俺……。


 スフィアに支えられ、起き上がった。



『ご主人様。ご気分はいかがですか?』

「まだちょっとだけダルいけど……ここは?」

『テイマーギルドの医務室です。あれから3日ほど眠り続けていたのですよ』



 3日……そんなに寝てたのか。

 それに、あれからって……あっ。



「そ、そうだ。グラドは……!?」

『コハク、落ち着いて。アイツは死んだわ。もう復活することもないわよ』

「そ……そうか……よかった」



 段々と思い出してきたぞ。

 グラドは煉獄の住人に捕まった。

 そして、そのまま煉獄へと連れていかれ、生きたまま魂を食われたんだ。


 確かあの時は、サーシャさんがアサシンのスキルを使ったって言ってたっけ。

 全く……無茶なことをするよ、あの人は。


 っ……か、体が痛い。3日間も寝てたからか、体がバキバキだ。

 これはリハビリも大変そうだな。



「それで、今はどんな状況?」

『ボード森林は壊滅状態のため、ガイア主導のもと修復が行われています。しかし規模が規模なので、完全に戻すには時間が掛かるようですね』

「ボード森林にいた魔物は?」

『あれらは全てグラドに吸収されてしまったので……長い年月を掛けて、自然に戻る他ありません』



 そう……まあ、仕方ないか。


 グラドが力を使って本気で暴れると、地形が変わるほどの被害が出る。


 こんな奴があと6体も……。

 しかも魔王サキュアは、そんな奴らを束ねている。

 最悪だ。絶望しか感じない。

 ため息が漏れた。



『ご主人様、今はゆっくりお休みください』

『そうですぞ。休むことも立派な戦いの1つです』

『コゥ、ボク枕になる? 布団になる?』

『アンタが望むなら、私が暖めてあげるわよ。私、体温は高いからっ』



 わっ、ちょっ。いきなり迫って来ないでっ。



「あ、ありがとう、みんな。でもトワさんの所に行かなくちゃ」

『私が連れてくるわ! 待ってなさい!』



 え、連れてくるって、どうやって?

 待つことしばし。

 医務室の扉が開き、ミニクルシュがトワさんの腕を掴んで入ってきた。

 なるほど。クルシュに伝えて、クルシュ伝手にトワさんを連れて来たのか。



「コハクさんっ、目覚めたのですね〜」

「はい、ついさっき。みんなから聞きました。グラドは倒せたんですね」

「まあ、倒したというより自爆と言った方が正しいですが〜」



 トワさんはベッド横の椅子に座り、そっと俺のひたいに手を当ててきた。



「……うん、熱も下がってますね〜。この3日間、高熱でうなされてたんですよ〜」

「そうなんですか?」

「はい〜。恐らく、疲労によるものですが〜」



 まあ、1日で何度も魔人化した上に、かなり強力な魔法や技も使った。

 むしろ高熱だけで済んだのは、スフィアのお陰だろう。



「他の皆さんは?」

「重症だったのはロウンさんくらいですね〜。煉獄の住人に吹き飛ばされて、アバラが6本折れてました〜」

「え、でも戦ってたような……」

「まあ〜、ミスリルプレートならそれくらいの怪我は日常茶飯事ですから〜。もう依頼を受けて、バリバリ働いてますよ〜」



 アバラが6本も折れる日常って……しかももう依頼を受けてるって、どんだけ頑丈なんだ。


 ロウンさんの他に怪我をしたのは、コロネさんとザニアさんらしい。

 2人とも無茶な戦いをしたからか、関節や筋を傷めたんだとか。

 それでも、この2人も依頼を受けているらしい。ザニアさんは嫌々みたいだけど。


 ミスリルプレート、恐るべし。



「な、なら俺も……」

「コハクさんはこのままもう少しお休みで〜す」

「な、なんでっ。俺行けます……!」

「コハクさんはここの所働きすぎで〜す。ギルドマスター権限を行使し、向こう1週間は絶対安静で〜す」



 そんなご無体な!?



『よいではありませんか、コハク様。しばしの休養と致しましょう』

『あそぼ! あそぼ!』



 う……そうだなぁ……確かにこういうことでもないと、ゆっくり休めないかも。



「……わかりました。なら、少し休ませてもらいますね」

「ふふふ〜。はい、よしよし、いいこいいこ〜」



 子供扱いしないでください。


 はぁ……急に休みが貰えたとしても、特にやることもないんだよなぁ。

 …………ん、あれ? 何か大切なことを忘れてるような。


 …………。



「あ」



 ……サーシャさんの件、忘れてた。

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