特訓──①
【お知らせ】
本日、サーガフォレストより発売!!!!
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「……ぅ……うぅ……?」
……どこだ、ここは……。
見覚えのあるようなないような天井。
それに薬品の香り……病院、か……?
『! コハク!』
「……クレア……それにみんなも……」
俺の顔の前で飛ぶクレア。それに傍にはみんなもいる。
みんな心配そうな顔をしてるし……相当寝てたのかな、俺……。
スフィアに支えられ、起き上がった。
『ご主人様。ご気分はいかがですか?』
「まだちょっとだけダルいけど……ここは?」
『テイマーギルドの医務室です。あれから3日ほど眠り続けていたのですよ』
3日……そんなに寝てたのか。
それに、あれからって……あっ。
「そ、そうだ。グラドは……!?」
『コハク、落ち着いて。アイツは死んだわ。もう復活することもないわよ』
「そ……そうか……よかった」
段々と思い出してきたぞ。
グラドは煉獄の住人に捕まった。
そして、そのまま煉獄へと連れていかれ、生きたまま魂を食われたんだ。
確かあの時は、サーシャさんがアサシンのスキルを使ったって言ってたっけ。
全く……無茶なことをするよ、あの人は。
っ……か、体が痛い。3日間も寝てたからか、体がバキバキだ。
これはリハビリも大変そうだな。
「それで、今はどんな状況?」
『ボード森林は壊滅状態のため、ガイア主導のもと修復が行われています。しかし規模が規模なので、完全に戻すには時間が掛かるようですね』
「ボード森林にいた魔物は?」
『あれらは全てグラドに吸収されてしまったので……長い年月を掛けて、自然に戻る他ありません』
そう……まあ、仕方ないか。
グラドが力を使って本気で暴れると、地形が変わるほどの被害が出る。
こんな奴があと6体も……。
しかも魔王サキュアは、そんな奴らを束ねている。
最悪だ。絶望しか感じない。
ため息が漏れた。
『ご主人様、今はゆっくりお休みください』
『そうですぞ。休むことも立派な戦いの1つです』
『コゥ、ボク枕になる? 布団になる?』
『アンタが望むなら、私が暖めてあげるわよ。私、体温は高いからっ』
わっ、ちょっ。いきなり迫って来ないでっ。
「あ、ありがとう、みんな。でもトワさんの所に行かなくちゃ」
『私が連れてくるわ! 待ってなさい!』
え、連れてくるって、どうやって?
待つことしばし。
医務室の扉が開き、ミニクルシュがトワさんの腕を掴んで入ってきた。
なるほど。クルシュに伝えて、クルシュ伝手にトワさんを連れて来たのか。
「コハクさんっ、目覚めたのですね〜」
「はい、ついさっき。みんなから聞きました。グラドは倒せたんですね」
「まあ、倒したというより自爆と言った方が正しいですが〜」
トワさんはベッド横の椅子に座り、そっと俺のひたいに手を当ててきた。
「……うん、熱も下がってますね〜。この3日間、高熱でうなされてたんですよ〜」
「そうなんですか?」
「はい〜。恐らく、疲労によるものですが〜」
まあ、1日で何度も魔人化した上に、かなり強力な魔法や技も使った。
むしろ高熱だけで済んだのは、スフィアのお陰だろう。
「他の皆さんは?」
「重症だったのはロウンさんくらいですね〜。煉獄の住人に吹き飛ばされて、アバラが6本折れてました〜」
「え、でも戦ってたような……」
「まあ〜、ミスリルプレートならそれくらいの怪我は日常茶飯事ですから〜。もう依頼を受けて、バリバリ働いてますよ〜」
アバラが6本も折れる日常って……しかももう依頼を受けてるって、どんだけ頑丈なんだ。
ロウンさんの他に怪我をしたのは、コロネさんとザニアさんらしい。
2人とも無茶な戦いをしたからか、関節や筋を傷めたんだとか。
それでも、この2人も依頼を受けているらしい。ザニアさんは嫌々みたいだけど。
ミスリルプレート、恐るべし。
「な、なら俺も……」
「コハクさんはこのままもう少しお休みで〜す」
「な、なんでっ。俺行けます……!」
「コハクさんはここの所働きすぎで〜す。ギルドマスター権限を行使し、向こう1週間は絶対安静で〜す」
そんなご無体な!?
『よいではありませんか、コハク様。しばしの休養と致しましょう』
『あそぼ! あそぼ!』
う……そうだなぁ……確かにこういうことでもないと、ゆっくり休めないかも。
「……わかりました。なら、少し休ませてもらいますね」
「ふふふ〜。はい、よしよし、いいこいいこ〜」
子供扱いしないでください。
はぁ……急に休みが貰えたとしても、特にやることもないんだよなぁ。
…………ん、あれ? 何か大切なことを忘れてるような。
…………。
「あ」
……サーシャさんの件、忘れてた。
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