煉獄──⑤

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   ◆



 アシュアが地上に降りると既に一箇所に全員集まっており、煉獄の住人を見上げる。

 レオンが厳しい表情で口を開いた。



「アシュア、あれはなんだ?」

「はい。グラドが煉獄の門を創造し、そこから煉獄の住人をこの世に召喚したそうです」



 煉獄の住人は生者の命を食い、生者の攻撃では殺すことはできない。

 よって、門の向こう側に押し返した瞬間にグラドを殺すことで、門を消し去る。それしか手段はない。


 その事を説明すると、コロネが「ふむ……」と煉獄の住人を見上げた。



「まだ奴は完全に門から出ていない。もし出たら、グラドが門を消すのではないか?」

「はい。だから奴を外に出ては行けません。ここで食い止めます」



 アシュアも煉獄の住人を見上げる。

 既に頭と腕は外に出ていて、すぐにでも出てきそうだ。



「へっ! 煉獄の住人かァ……腕が鳴るぜ! コル!」

「はいはい」



 コルがロウンに身体強化の魔法を掛ける。

 ロウンの体を赤いオーラが纏うと、煉獄の住人へ向けて跳躍した。


 元々高かった身体能力に加え、身体強化の魔法で強化されたジャンプ力。

 それにより、煉獄の住人へと迫った。


 煉獄の住人の眼前まで跳躍し、空中で構え。



「魔闘殲滅流──波紋掌底!」



 眉間に掌底突きを放った。

 波のような衝撃が肉体の内部を破壊する必殺の技。



「??」



 のはずが、煉獄の住人は眉間を掻いて首を傾げた。



「マジかよっ、今のでビクともしねーのか……うっ!?」



 煉獄の住人が無造作に腕を振るう。

 間一髪、身を捩ってかわすが、まるで嵐のような暴風により吹き飛ばされた。



「ロウン! くそっ、オレたちも行くぞ!」



 レオンの号令で、煉獄の住人へ向かっていった。



「ふふふ~。クルシュちゃん、魔人化行きますよ~」

「グルッ!」



 トワがクルシュに飲まれ、魔人化する。

 まるで漆黒の閃光のように飛翔し、煉獄の住人の胸部へと体当たりをぶちかます。


 ドゴオオオオオォォォォッッッ──!!


 体当たりの衝撃で、煉獄の住人は僅かにぐらつく。



「くっ、重い……!」



 だが押し返すまでは行かない。質量が違いすぎる。



「なら、俺ちゃんたちのパワーならどうよ」



 直後、その背後で待ち構えていたノワールと魔人化したザニアが、空間を蹴って、、、、、、煉獄の住人へと肉薄した。



「《獣王の衝印キング・スタンプ》」

「ガルアァッ!!」



 ドッッッパアアアァァァァッッッ!!!!


 魔人化ザニアとネロの二重の攻撃が、更に煉獄の住人をぐらつかせる。



「アイレ、アネモス、リーフ! 《阿修羅の螺旋風》!」

「「「────!!」」」



 3つの竜巻が、更に螺旋状に連なり煉獄の住人の喉元を穿つ。



「なら僕も。《暴嵐の槍テンペスト・スピア》!」



 同時にコルが、空気を超圧縮した風の槍を放つ。

 2つの最強クラスの風魔法が煉獄の住人を更にぐらつかせた。



「いいぞ、このまま──」






「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッッッッッ──!!!!!!!!」






 今まで聞いたことがないほどのおぞましい咆哮が、衝撃波となって大気を震わせる。


 その衝撃により、近くにいたトワ、ザニア、コロネは魔物たちと一緒に吹き飛ばされた。



「トワ!」



 レオンが激昂し、霊槍レブナントを構えて棒高跳びの要領で跳躍。

 吹き飛ぶトワを空中でキャッチした。


 思わぬ助けに、トワは少しだけ胸が高鳴った。



「……お気遣いどうも……」

「気にするな。足場が無くなるのを防いだだけだ」

「は? ちょっ!?」



 レオンはトワの背を足場に更に跳躍。

 霊槍レブナントを構え、煉獄の住人に迫る。



「生者の攻撃は通じないのだろう? なら、黄泉の攻撃はどうだ?」

「!?」



 霊槍レブナントが白い光を帯びる。


 レブナントの能力により、黄泉の国から死霊が召喚された。

 レオンの目にしか見えない死霊の軍団が、煉獄の住人へと群がる。


 死霊の攻撃により、煉獄の住人は不快そうな顔をした。

 小さくてダメージは微々たるものだが、確実に死霊の攻撃は通っているみたいだ。



「霊槍レブナント──死霊纏い・貫穿!」



 レオンの攻撃が煉獄の住人の肩を撃ち抜く。

 しかしそれも微々たるもので、この巨体相手ではダメージとはならない。



「チッ。木偶の坊が……!」



 だがダメージは与えられる。

 少しづつだが、こうして攻撃していくしかないのだ。

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