VS七魔極・創造──②
奇襲がなくても、みんなの力なら十分勝機はある。
だけど奇襲の有用性は何度も実証済みだ。
真正面から戦うのが美学だという人もいるが、それで守れるものも守れなかったら本末転倒。
特に、今回の敵は七魔極。
できることなら奇襲で仕留めたかったけど……。
「そう簡単にはいかないか」
『コハク、どうする?』
「とりあえず叩き落とす。飛んでたら、他の人の手助けも得られないから」
『オーケー。出力の調整は任せて。コハクは思いっきりやりなさい!』
「ありがとう」
炎の翼を羽ばたかせ、グラドに向かい突撃。
グラドは漆黒の腕を俺に向けて伸ばしてきた。
無数の腕が俺の四肢を縛るように絡み付く。
だが。
『邪魔ァ!!』
俺の全身から炎が燃え上がり、漆黒の腕を一瞬で炭化させた。
その隙に更に加速し、グラドに迫る──!
「《■■■■■■■■■■》」
ッ!? 大量の水!?
そうかっ、創造ってのはなんでも作れるのか! やばい、このままじゃ……!
『《黒炎の守護》!』
クレアが俺の周囲に漆黒の炎を纏わせた。
これ、最初に戦った魔族が使ってた、黒死炎ってやつか。確か、対象を燃やし尽くすまで消えないってやつ……!
「ありがとう、クレア!」
『いいから突っ込みなさい!』
「うん!」
お陰で水は防げた。これなら……!
滝のような水を突っ切り、目の前に迫るグラド。
僅かだが目を見開いたような気がした。
黒死炎を纏った状態で拳を握り、加速を利用して思い切り振り抜く!
「■■」
くそっ、上に避けられた……!
でも明らかにこいつ、今舌打ちしたな。変に人間くさい所があるな。
けど、上下左右どこに逃げても無駄だ。
そこには、仲間がいるから。
『ガルルルルルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!』
「■■■■■■■──!!」
真上からフェンリルの爪がグラドを襲う。
フェンリルの爪は伝説のオリハルコンすら砕くと言われている。その危険性を本能で察したのか、グラドは身を捻ってかわした。
まだこっちの攻撃は終わらない。
『高周波ブレード──閃!』
『神聖魔剣──乱れ嵐!』
更に左右から、スフィアとライガからの追撃が入る。
「《■■■■■■》」
ッ! 四方八方から無数のワームが!?
『ぐっ、気持ち悪い……!』
『ハァッ!』
さすがのスフィアとライガも、ワームを迎撃するのに手一杯らしい。
その隙をつき、グラドは下に向かって退避した。
と、そこに。
「アイネ、アネモス、リーフ!」
「「「────!!」」」
コロネさんの合図で、3体の
更にコルさんも、トワさんのクルシュも、それに合わせるように魔法やブレスを放つ。
しかし、また
あの盾がある限り、魔法攻撃は通らないか。
「チィッ! 飛んでやがるから俺の出番ねーじゃねーか……!」
「焦るな、ロウン。機を待て」
歯ぎしりするロウンさんを、レオンさんが窘める。
その横にいるアシュアさんは、剣を抜いて《剣聖の加護》を発動。
瞳の色が虹色に輝き、全身から虹色の光が迸った。
「じゃあロウン。俺は一足先に楽しませてもらうよ」
「あっ、ずりぃ!」
地面を蹴り、虹色の軌跡を作ってグラドへと迫るアシュアさん。
まるで、空を駆け上がる流星だ。
「やあ、俺ともやろうよ。──殺し合いを」
「■■■■■■■■」
目にも止まらぬアシュアの剣撃。
だがグラドは、無数に創り出した鋼鉄のキューブでアシュアさんの剣撃を防ぐ。
《剣聖の加護》を発動したアシュアさんの攻撃を防ぐって、どんな物質だ……!
「《■■■■■■■■■■》」
「むっ」
キューブが形を変え、鋼鉄の蛇となってアシュアさんを雁字搦めにした。
「アシュアさん!」
「大丈夫だよ、コハクくん」
ザンッッッ──!
え……体を縛った鋼鉄の蛇を細切れに……!?
「■■■■■……!」
「何を言ってるのかわからないよ」
「■■■!」
アシュアさんが一瞬でグラドの背後を取り、《剣聖の加護》を纏わせた剣を振り下ろす。
すんでのところで防がれてグラドには届かなかったが、勢いは殺せず地面に向かって吹き飛んだ。
巨大な穴のすぐ側に落下し、地響きと土煙を上げてクレーターを作る。
「すごい……これ、行けるんじゃない?」
『…………』
「クレア?」
『……遊んでるわ、アイツ』
「え?」
遊んでる……? これだけの人数を前に……?
『七魔極の力はこんなもんじゃない。現にアイツ、一気に複数のものを創造してない』
「あ……」
確かに、今まで盾
クレアの口振りからして、奴は複数のものを一気に創造できるらしいけど……今はそれらしい素振りを見せていない。
遊んでいる……いや、手を抜いてる、のか……?
「あーあ、バレたか」
──ゾクッ──
な、ぇ……!? グラドから感じる圧が、今まで以上に……!?
クレーターの中からゆっくりと立ち上がる1つの影。
異様に太い腕を広げ、土煙が霧散。
今まで無表情だったグラドが、狂気を帯びた笑みを浮かべていた。
「初めまして、クソ
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