VS七魔極・創造──③

 来るッ──!


 グラドが両腕を掲げると、上空に無数の刀剣や槍が現れ、更に地面からは無数の昆虫種インセクト、森からは獣種ビーストが現れた。


 クレアの言う通りだ。

 やっぱり複数のものを同時に創造できたのか……!


 昆虫種インセクト獣種ビーストが、森の中に散り散りになる。

 これ、まずいぞ……!



「みなさん、下にいるやつは任せます!」

「了解で〜す」

「コハク、アシュア! お前らはグラドを叩け!」

「「はい!」」



 空を自在に飛べるのは、俺とアシュアさんのみ。

 トワさんは魔人化しないと行けないとは言え、こっちばかりに人員を割く余裕もない。


 まだ森にはプラチナプレートのハンターたちもいるし、今は信じて託すしかない……!


 グラドは再び空に上がる。


 それを合図に、空に浮かんでいた刀剣と槍も射出。

 縦横無尽に飛び、俺らに迫ってきた。



『防御フィールド』



 けど、そんなことに一々驚いてもいられない。

 スフィアの防御フィールドが俺とアシュアさんを包み、尽くを弾いた。



「ありがとう、コハクくん」

「いえ。ですが……」



 けど、弾いたものが方向を変えてまた俺たちを襲ってくる。



『ホーミング機能ですね。恐らく、破壊しない限りはずっと私たちを追いかけ回すでしょう』



 なるほど、そういう力か。


 そのことをアシュアさんに説明すると、頷いて剣を構えた。



「ここは俺に任せてくれ。装備破壊は得意なんだ」



 アシュアさんは剣を構える。

 いつ見ても見事な純白の剣だ。

 その剣が、《剣聖の加護》を纏って七色に輝き出す。



「魔法剣、エッケザックス。その効果は【防御貫通】。装備だろうと超防御力の高い魔物だろうと……その全てを無効化する!」



 ゴオオオオオオオオオオオォォォォッッッ──!!


 七色の光が凝縮し、巨大な光の刃となる。

 10メートル、20メートル……いや、もっとか? 超巨大な光の刀身となり、世界を七色に照らした。



「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



 咆哮と共に、アシュアさんがエッケザックスを振るう。

 数十メートルに及ぶ七色の刀身が空間を切り裂くように走り、周囲の刀剣や槍を全て薙ぎ払った。


 アシュアさんのおかげで、空を飛んでいた武器の類は全て消し飛んだ。



「……すげぇ……」

『何よ! 私だってあんなの一瞬で燃えカスにできるし!』

『ボクも噛み砕けるしぃ!』

『私も武器破壊は得意ですぞ、コハク様!』

『ご主人様、私のソーラーレーザーも同じようなことできます!』



 みんなめっちゃ張り合って来た。なんかごめん。


 アシュアさんの力は継続できないのか、直ぐに光の刀身は霧散してしまった。



「ふう。やっぱりまだ完全に扱いきれないね。剣聖の力、奥が深いよ」

『否。正直私も、この力をここまで使いこなすとは思っていなかった。これは成長が楽しみだな』


 おお。ライガお墨付きの才能……アシュアさん、やっぱすげぇ。


 それを見ていたグラドは、珍獣を見るような目をアシュアさんに向けた。



「この力、剣聖か。当時の剣聖は化け物だったけど……この時代の剣聖の力、魔王様の脅威になるのか見させてもらうよ」



 この口ぶりからして、前の時代の剣聖、リューゴのことを知ってるのか。

 剣聖の試練の時に見た記憶の中のリューゴは、まだ剣聖として覚醒していなかった。

 そのリューゴですら、こいつを殺すことはできていない……つまりリューゴを越えないと、アシュアさん1人じゃこいつを殺せないことになる。


 でも。



「待った。俺を忘れてもらっちゃ困るよ」

「もちろんだ。頼りにしてるよ、コハクくん」



 俺とアシュアさんが並び、その後ろに幻獣種ファンタズマが並ぶ。

 もしアシュアさんの力がリューゴに及ばなくても、俺らの力を合わせれば勝てる。と、思う。そう思うことにする。



幻獣種ファンタズマ……魔物を吸収したから初めて見るけど、よかった。思いの外弱そうだ」



 あ、まずい。






『『『『………………………………は?』』』』






 みんなから放たれる圧が異様に高まっていく。

 幻獣種ファンタズマは魔物の中でも人と同じく言葉を話し、最強種としてのプライドも高い。


 そんなみんなを弱そうって……。



『ふ、ふふ……ふふふふ。わ、私、久々に切れました……ええ、切れましたよ、これは』

『泣いて謝ってももう許さないわ。血液沸騰させて悶え苦しませてあげる』

『この俺を弱そうとは……打ち首獄門でも足らんぞ』

『殺してから獣種ビーストの餌にしてやる……ガルルルルルルッ』



 あーあ、俺知らない。

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