第50話 裏
「んんっ……んにゅ?」
体に何かが触れた感触があって起きちゃった。なんだろう……柔らかくもないし硬くもない。それに人間みたいに温かいな……あれ?そういえば……
「あっ……そぅ。」
私、葵とまだ一緒にいたくて葵の家にお泊りしてたんだった。葵と一緒にベットで寝たんだから葵に当たることもあるよね。
「ふわぁ。」
昨日はすごかったなぁ。葵にいっぱい甘えることができて私は満足だよ。ふふん、あんなことできたのもこのパジャマのおかげなのかな。
「早く起きちゃったし何しようかな。」
でも、1人でできることってあまりないんだよね。ご飯は葵と一緒に食べたいし……葵の寝顔見てようかな。
「葵も髪伸びてきたよね。切らないのかな……やっぱり駄目。」
葵が髪切っちゃうともっとかっこよくなっちゃう。そうなると葵を見るたびに顔が赤くなりそうだし、なにより他の女の子が寄ってきそうだしね。そんなの嫌。
「あ……独占欲強い子になっちゃいそうだよ……」
私よりも魅力的な女の子なんていっぱいいるから葵が目移りしないようにいろいろ頑張らなくちゃ。
「葵もほかの女の子に目移りしないでね。」
つんっつんっ
「んん゛……」
寝ている葵のほっぺにつんつんする。私がそんなことしたからかそろそろ起きてきそうな声を出した。このままやったら起きちゃうかな。
「そうー……えいっ。」
つんっ、ふにっ
「あ゛あ゛?……なんだ、玲奈か……おはよう。」
「おはよー。」
これだけだからって思ってつんつんしたら起きちゃった。葵は起きたてだからかな、まだ眠そうにしてる。悪いことしちゃったかな?
でも、ほっぺにつんつんしたのはほかの女の子に目移りしないでって感じの奴だって言えない。何か誤魔化せることはないかな……あ、そうだ。
「なんか目が覚めちゃってね、暇だったから葵の寝顔見てたんだけど葵のほっぺが目に入って気づいてたら触っちゃってたの。」
「そうか。別にそんなこと言わなくても怒ってないぞ。」
うっ……それはそうかもしれないけど……でも、せっかく寝ていたのに起こしちゃっし。葵だってまだ寝ていたかったのかもしれないし。
「でも、起こしちゃってごめんね。もうちょっと寝たかったんじゃないの?」
「確かに寝たかったが……もう9時だし起きるにはちょうどいい時間だろ。」
これ以上寝ていると夜寝られなくなったり、ご飯食べる時間ずれちゃったりするから確かにちょうどいいけど……
「だから、そんなに気にしなくてもいいぞ。」
「分かった。じゃあ、葵も起きたんだし朝ごはん食べよ?」
「そうだな。今食べなきゃ昼ごはん食べれなくなりそうだしな。」
葵がそんなこと言ってくる。それに、葵も私と同じこと考えてたみたい。朝ご飯って言っても昨日のカレー余ってるからそれにしようかな?
「昨日のカレーまだ余ってるから食べちゃう?」
「2日目のカレーって美味いもんな。昨日の美味かったカレーがさらに美味くなるってことだよな。」
「私が作ったから私がさらに美味しくなるとか言えないと思うけど……そ、葵がそう思うならそうなんじゃないかな。」
私が自分でもっと美味しくなると言えないし……でも、2日目のカレーが美味しくなるってのは分かる。どこの家のカレーもそうだよね。
「いや、カレーだけじゃなくてたまに作ってくれる弁当も美味いからな?多分俺以外の奴が食べても美味いっていうと思うぞ。」
「も、もうっ、分かったから早く食べよ!……これ以上言われると食べる前に顔がにやけちゃって食べれなくなるじゃん……」
そんなに褒められると嬉しくて顔がにやけちゃうじゃん。それにカレーは誰が作っても大体美味しいからそこまで褒めなくてもいいのに……
お弁当だって葵のこと考えて作っただけだし。多分他の人のこと思って作ったら普通の味になると思うし……
って、こんなこと考えてるとご飯食べる時間無くなるじゃん。と、とにかく葵はほめ過ぎなんだから。
「ふぅ、ご馳走様。美味かったよ。」
「お粗末様、ありがとね。」
2日目のカレーも葵は美味しそうに食べてくれた。私の分でカレーは無くなっちゃったけどもしあったらお代わりしてたと思うくらいだった。
「昨日と同じで俺が食器洗うよ。」
「じゃあ私も葵が洗った物拭くね。」
今日も洗ってくれるらしいから私も洗った物拭くことにした。こういうの共同作業って感じがして良いかも。
「今日は何しようか?」
「うーん……あ、ツインクラフト久しぶりにやらない?」
「そういえば最近やってなかったな。」
ふと思ったんだけどなんでツインクラフトってあるんだろう。ソロクラフトでも通信出来て数人で一緒にできるのに。
「そういえばツインクラフトのツインってどういう意味なんだろうね。」
「2人って意味じゃないか?」
「私、調べてみるね。」
えっと、【ツイン 意味】っと……あ、ホテルのツインルームっても言うよね。それに双子って意味なの初めて知ったよ。
あ、まだあるみたい……対になったもの?これって2つで1つっていうやつだよね。ゲームでも2匹の龍の素材から作れる武器もツインって名前についてるし……
「ふーん……え?」
あれ?あの2匹の龍って番ってせってだったよね。じゃ、じゃあ間接的に夫婦ってことになるのかな?
「どうした?」
「い、いや、なんでもないの。ツインって双子って意味もあるんだって。」
「そうなのか。」
そんなことを考えていたので葵には肝心のツインって意味を言わなかった。で、でもあながち間違いじゃないし……
「まぁ、良いか。じゃあ、これ終わったら部屋に戻ってやるか。」
「そ、そうだね。早く終わらせて早くやろう。」
食器を拭くのはすぐに終わった。葵は少し先に2階へ上がっていって私もそれについていく。
「うぅ、私のバカぁ……1対って意味なのに夫婦って意味に変えちゃうなんて……葵に言えないよぉ。」
葵に聞こえないように小さくつぶやく。なんですぐに夫婦とか結婚とかにつなげちゃうんだろう……意識してなくさなくちゃ。
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