第51話 表

「葵、ここら辺の土全部取ったよ。」


「分かった。じゃあ、露出した石は俺がやるから適当にしてていいぞ。」


 俺たちは今整地していた。そろそろ村の大きさを広げようという所で終わっていたと分かったので今日はそれをしようということになったのだ。


「ふぅ……結構広かったから疲れたよ。」


「お疲れ様、どうせならキャラを家において横になってもいいんだぞ。」


「じゃあ、膝まくらしてもらってもいい?」


「いいぞ。」


「やった。ありがとね。」


 ぽすっ


 そんな音が聞こえて俺の膝に玲奈の頭が乗る。ベットに座ってツイクラをやってるから膝まくらもしやすい。俺は玲奈に膝まくらをしながら作業を進めていく。


「お、石炭あるじゃん。鉄もあるかもな。」


「あって困るものじゃないよね。」


 石炭と鉄はいくらあっても困るものじゃない。石炭はアイテムを焼くときに必要になってくるし、鉄は需要があり過ぎる。


 武器装備の主な材料だし守護者を作ることもできる。耐久値が減ったアイテムを治す金床だって作れるある意味万能アイテムだ。


「やっぱりもっといい効率スキル欲しいよな。」


「レベルⅤになったら凄いもんね。自由モードで作ったら石とか土なんて一瞬だもん。」


 だがこの世界はサバイバルモードだ自由モードみたいになんでも使えるなんてことはできないのだ。こればかりは効率スキルを集めていくしかない。あとキャラのレベル上げだな。


「てか、結構石あるんだな。」


「思ったより土少なかったから丘の中心らへんだったのかな?」


 そういえばそうだったな。ずっと前にした整地で丘を削ることにしたんだった。小さい丘だがなんせその範囲が広かった。


 前回で結構削ったと思ったんだがまだ半分か。今回はちょうど半分までだが、丘を平らにするとなるとどのくらいの時間がかかるんだろうな。


「あと半分で整地終わるぞ。」


「結構早いよね。」


「一応効率Ⅳの耐久率Ⅴで、しかもダイヤ製だしな。壊れにくいし掘りやすい。」


 これでも頑張った方なんだがどうせなら最終強化までしたい。なので今使ってるピッケルの他に効率Ⅳの奴を作ろうとしているのだが……


 それに必要なレベルとさらに合成して効率Ⅴにするために必要なレベルを考えるとやる気が無くなってしまう。今のレベル【200】でも足りないと思うし。


「やっぱりツイクラってやることばかりで飽きないな。」


「その分ほかに事が疎かになっちゃうくらいだからね。分かっててもやめられないよね。」


「そうなんだよな。ある意味中毒性があるゲームなんだよな。」


 今日のように1度やってしまったら最後、来週もやることになるんじゃないか?俺と玲奈、どっちもやるときにしか出来ないけどな。ツインだし。


「ふと気になったんだが、ツイクラは最初から家とかベットあったよな。」


「うん。」


「ソロクラってないらしいんだよ。」


「そうなの?」


 玲奈が土を削ってる間、俺は何もすることがなかったため少しだけツイクラについて調べたんだ。ソロクラと何が違うのか気になってな。


 調べてみたら結構違いがあってだな……まず、家がないことだろ。次になぜかベットが隣り合わせに置かれていることだ。


「それとベットが隣り合わせになってるし、操作するキャラが必ず男女1人ずつなんだよな。」


「へぇ……そうなんだ。男の人2人とか女の人2人は設定できないの?」


「できないらしい。必ず男女1人ずつになるらしい。」


 これについて考察している人もいるが真偽は誰も分からない。分かるのはツイクラを作った人しかいないだろう。


「まぁ、ツインって双子って意味もあるらしいし双子だからベットが隣とかでも言いて思ったんだろうな。」


「そっか、ツインの意味も入れて考えていけばいいんだね……ベットが隣り合わせ、キャラは男女1人ずつだけ……」


 ぷしゅぅー


「よし、後は土を詰めるだけだぞ……どうした?顔赤いぞ。」


「な、なんでもないよ………まさかね。」


「玲奈も土詰めるのやるか?」


「う、うん。やろうかな。」


 さすがに操作する時は動かしづらいから起きてするらしい。玲奈が起き上がって俺の膝から玲奈の重みが無くなる。


「じゃあ、俺は遠い方から詰めていくから玲奈は村に近い方からで。」


「わかった。」


 俺たちは近くの箱に入れてあった土を回収し最後の作業に入っていく。これをやり終えて広くなった場所を見ると達成感がすごいんだよな。


「これ終わったら何作る?」


「コンビニかポテトの店でも作るか。」


「良いね!簡単な方から作ろうよ。」


 久しぶりのツイクラでいきなり材料調達が難しい建物なんて作りたくない。どっちも再現が難しいと思うがどちらかというと……


「確かポテトの方が難しいらしいぞ。」


「む、人気なのに難しいなんて。じゃあ、コンビニで良いや。」


「まぁ、コンビニもどのコンビニにするかで違ってくると思うけどな。」


 7-11は看板に色を結構使いそうだから調達が面倒くさそうだな。やるとしたら家族の小売店か牛乳瓶だろうか。


「家族のコンビニか、牛乳瓶のどっちかだったらどうする。」


「牛乳瓶の方かな。唐揚げちゃん美味しいもん。」


 確かにな。あれは味もいろいろあるがどれも美味しいんだよな。レッドなんて辛いのが病みつきになるほどだ。


「これが終わったら牛乳瓶を作るための材料を調べるか。」


「頑張ろうね!」


 これでまたやることが決まった。これ連鎖で抜け出せないんだよな。

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