第18話 裏

「ただいま~」


 私は今自分の家に帰っていた。葵の家に持っていくパジャマを選ぶために。どんなのにしようかなぁ。


「あら、お帰りなさい。」


「あ、お母さん。今日も葵の家に泊まるね。」


 お母さんに今日も泊まることを報告する。昨日は葵からだったけど今日は私からお願いしんだよね。


「そうなの、分かったわ。」


「今パジャマ取りに来ただけだからすぐに出るね。」


 葵の家に戻ってギュッてして貰うのも良いかも。でもパジャマも可愛いのにしたいし……


「まぁまぁ、そんなに焦らなくても良いんじゃない?」


「うーん、少しでも葵と一緒にいたくて。」


 お母さんは焦らなくても良いというけど、私は一緒にいる時間が長い方が良いから急いで部屋に行きパジャマを選ぶことにした。


「うーん……どんなのにしようかなぁ。」


 部屋に戻ってパジャマを選ぶけど悩んじゃう。服を選ぶときもだけど女の子は大変だ。あ、そういえば……


「葵が買ってくれた服見なきゃ。」


 葵から貰った袋を開けて服を出す。服は4つあった。1つは私が選んだやつだ。葵これも買ってくれたんだ、嬉しい。もう1つはスカートで私が選んだやつと合わせて着てほしいのかな?


「あ……これ。ワンピース?」


 広げてみたのは白いワンピース。今から暖かくなるから着るには丁度良い時期だと思う。シンプルだけど凄く良い服だと思う。


「後は……これってパジャマ?」


 取り出したのは猫耳フードが付いたパジャマ。これを私が着るってこと?凄く恥ずかしい気がする。


「でもこれを買ったってことは着てほしいってことだよね。」


 何でもないのに買うものでもない気がするし絶対そうだよね。恥ずかしいけどこれを着て葵に可愛いって言われる……良いかも。


「今日のパジャマはこれにしよっ!」


 パジャマも決まったので鞄に入れて玄関に向かう。パジャマを着た私を見た葵がどう言うか楽しみだなぁ。


「あ、玲奈。ちょっと待って。」


「どうしたのお母さん。」


 何か急な用事でもあるのかな?でも、私がやらなきゃいけない急用って無くない?


「あ、用事なんて無いわよ。ただ、たまには母娘で話すのも良いんじゃないかしら。」


「え、でも葵の家に行く時間遅くなるよ?」


「そこら辺は葵君のお母さんにもう連絡したから大丈夫よ。」


 なんて用意周到なお母さんだろう。でも、確かに最近お母さんと話すこともなかったし、たまには良いかな。


「ところで玲奈。」


「なぁに?」


「葵君とはどこまでいったのかしら。」


 早速私と葵について聞いてくる。聞きたいことそれしかないのかなぁ。


「えっと、失恋した幼馴染の関係?」


「どう言うこと?」


「えっとね……」


 私は葵に好きな人がいることを話した。葵が作った架空の先輩ではないけど好きな人はいるって言ってからいるよね。


 好きな人は多分私じゃないと思う。きっと私なんかよりも好い人なんだろうなぁ。だけど……


「そうだったの。」


「うん……けど私諦めないよっ。」


 私は絶対諦めない。私の未来には葵がいなきゃ駄目だから。他の人なんて嫌、葵だから良い。


「葵が他の人を好きだったとしてもその人と付き合うまでは諦めないもん。私は最後まで頑張る。」


 お母さんに決意を伝えたように見えるけど、これは私自信に言い聞かせるために口に出したの。


「ふふっ、若い頃の私みたい。」


「お母さんも私みたいだったの?」


「そうよ。」


 若い頃のお母さんは私と同じ様な出来事を体験したらしい。それでお父さんと結ばれたんだね。凄いなぁ。


「私とあの人の話は今度してあげる。それより、そろそろいかなくて良いの?」


「あれっ?もうこんな時間なんだ。早くいかなきゃ。」


 気づいたら1時間近くお母さんと話してたみたい。あっという間だったから気付かなかった。私は急いで玄関に向かう。


「玲奈、頑張ってね。」


「うんっ!行ってきま~す!」


 お母さんから応援を貰って私は葵の家に行った。




 ____________________________________________





「ふぅ。さっぱりしたぁ~。」


 あれから私は少し早いご飯を食べて風呂に入り、今お風呂から上がったところだった。身体を拭いてパジャマに着替えるだけど……今日は猫耳パジャマだった。


「恥ずかしいけど、葵に誉められるためだから。」


 そうやって自分に言い聞かせるけどやっぱりちょっと恥ずかしいや。おばさんにみられないようにすぐに葵の部屋にいかなきゃ。


 あっ、フード被ると私から猫耳生えてるみたいで良いかも。この状態で部屋に戻ろっと。


 お風呂場から出て階段へ向かう。ふふっ、なんかスニーキングミッションみたいで楽しい。


「……玲奈ちゃん………諦めるの?」


「諦めるも……勝算なんて………」


 居間の方から葵とおばさんの話し声が聞こえてきた。それなんだか私の名前が聞こえた気がした。なんだろう?興味本意でドアをちょっと開いて見てみる。


「なら、玲奈ちゃんが他の男と付き合っても良いのね?将来別の人と結婚しても良いと?」


「それはっ……」


 葵とおばさんは何か話していた。それにしても私が他の人と付き合うとかってなんだろう。なんでそんな話してるの?


 私はしばらくその場で話を聞いていた。





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 しばらく話を聞いていたけど、私の話をしてたんじゃなくて葵の話をしていたことに気付いた。だけど、


「葵が……私のこと……好き?」


 話の途中で葵が私のことを好きって言っていた。それを聞いて私が訳が分からなくなる。葵は別の人が好きなんじゃないの?


 あれ?でも、葵は好きな人がいるっては言ったけどそれだけだったよね。それなら、私も含まれている可能性があるわけで。


「……っ!」


 考え事をしていたらおばさんと目があった気がした。もしかしてばれちゃった?こっそり部屋にいかなきゃ。


 私は音をたてないようにして階段を上り部屋に戻った。戻ったのは良いけど考えるのはさっきの2人の話。


「うぅ、訳分かんないよぉ。」


 つまり葵は私のことが好きだったってこと?それっていつからだろ。んん?葵が私のこと好き?


「つまり……両思い?」


 私も葵が好き。葵は私が好き。それなら、そういうことだよね?両思いってことだよね?


「やった!やったぁー!」


 嬉しかった。私の片想いじゃなかったから。暴れまわりたいくらい嬉しかった。


 でもふと思った。最近の私って葵に色々してたよね?もうがっつり恋人繋ぎとか、その他にも今しようとしているお願いとか。これってかなり恥ずかしいことな気がした。


「……っ!ぅぅ……どうしよぉ。」


 凄く恥ずかしい。でも今からやっぱりやめたなんて言えないよぉ。私どうすれば良いの?


 こんな状態でぎゅーして貰ったら私死んじゃうよぉ。

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