第14話 表
朝食だと伝えにきた母さんにバッチリと見られた後、俺達は恥ずかしい思いをしながらも朝食を食べ、また部屋に戻っていた。
今母さんと一緒の空間にいたらお話という名の尋問を受けそうだかならな。俺だけ逃げても玲奈に聞いてきそうだし。
しかし、戻ってきたものは良いものの非常に気まずい。まともな会話すらできない状態だ。とりあえずこの空気を何とかしたい。
「な、なぁ、玲奈。」
「……っ!ど、どうしたの?」
これをかけた瞬間ビクッてする玲奈。俺を意識しすぎではないか。いや、俺も意識しちゃってるんですけどね。
「休日なのに俺といて良いのか?その……友達と遊んだりとかないのか?」
他の用事がないか聞いてみる。あったらあったで玲奈は遊びに行くことになりこの気まずい空気はなくなる。だけど、玲奈はいなくなる。そう考えると寂しいかもな……無茶苦茶だ。
玲奈への好意を自覚したところ、ずっと玲奈と一緒にいたいという思いばかりが募っていく。
「うーん……ない、かな。翠ちゃん今日用事あるらしいから。」
「……そうか。」
翠ちゃんとは納泉さんのことだろう。え?友達って納泉さんだけなの?もしかして玲奈ってぼっちに近いのか?
「逆に葵はどうなの?友達と遊んだりとか用事ないの?」
「あ、ああ……俺か?」
今度は玲奈が聞いてきた。用事か……ないな。石晶も今日は絶対にはずせない用事があるとか言ってたな。なんでも、行かなかったらメチャクチャにされるだのなんだの。
「俺もないな。」
「へ、へぇ。そ、そうなんだ。」
玲奈が気まずそうな声を出して気づいた。嘘でもあると行っておけばよかった。そうすればこんな空気ともおさらばだったんだが。
そこからまたしばらく無言が続いた。状況は更に悪化してきている。玲奈がついに行動してきたからだ。
ツンツン、ツンツン
ピクッ!
「っ!」
玲奈が何かしてほしいように俺の手を触ってきているのだ。しかも恥ずかしそうにして。俺はどうすればいい。
ツンツン
「……っ!」
ムキュッ
「……うぅ。」
ツンツンしていたのが何かに耐えられなくなったのか服の裾を掴んできたのだ。段々としてほしいことが分かってきた。
クイクイ
「ど、どうしたんだ。」
ついに耐えきれなくなって玲奈に聞いてしまった。聞かなくても検討はついていて、多分だが手を繋いで欲しいのだと思う。
「え、えと。手繋ぎたいなって。」
恥ずかしいのか少し小さめの声でそう言った。恥ずかしいのか顔を俯けていて、俺から見える耳は赤くなっていた。めちゃくちゃ可愛いんだが。
「すまん。もう1回言ってくれるか?聞こえなかったんだ。」
つい意地悪をしたくなったのでもう1回お願いしてみた。すると玲奈はぷるぷると震えていた。2回目はかなり恥ずかしいのだろう。
「だ、だからっ。て、手を繋いでほし……っ!」
ギュッ
恥ずかしながらも聞こえるように必死なところがとても可愛くて我慢できずに手を繋いでしまった。
「ごめんな。最初から聞こえてたんだ。」
「っ!もぉ~!そうのばぁーか!」
ネタばらしをすると意地悪されたと気づいたのか俺を馬鹿だと言ってくる。なんだか照れ隠しみたいで全然怖くないんだよな。
ゴソゴソ、ギュッ
「あ、お、おいっ。」
「ふんっ!葵なんて知らないっ。」
プンッとそっぽを向く玲奈。それに対し俺は動揺していた。玲奈が普通の手繋ぎから恋人繋ぎに変えてきたのだ。いくらなんでもやりすぎだ。
「好きじゃないやつにやっていいやつかこれ?」
「……?なにか言った?」
玲奈は好きなやつがいるのに俺がこんなことして良いのかと疑問に思う。もしかして恋人ができた時のための練習か何かか?うん、きっとそうに違いない。
「何も言ってないよ。それより、暇だから外にでも出てブラブラしないか?」
練習なら外へ出てした方がいいだろう。他の奴に見られる可能性もあるが、こんな場所でやるよりましだ。そろそろこの場所にも精神的に居づらいしな。
「す、するっ!早く行こっ!」
俺が提案したものがよほど嬉しかったらしい。俺を引っ張って一刻も早く外へ行きたがっている。
「分かったから。そんなに引っ張らないでくれ。」
俺は苦笑しながらも玲奈に引っ張られて玄関へ向かった。
玲奈が楽しそうならそれでいいや。
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あとがき
最近、執筆?する時間が遅くなってかなり眠い状態でやってます。考えまとまらないときもあって難しいです。
それはそうとこの2人ってまだ付き合ってないんですよね。もう恋人扱いしたいんですが、それだと物語にならないので我慢してます。
作者はいつ告白させるか、どちらを告白させようか迷ってます。まだまだ先の話なんですがね。楽しみしていてください。
いつもハート、星などありがとうございます。朝起きたときなど通知がきていたら寝起きですが嬉しくなります。1日の始まりがちょっとした幸せになっています。ありがとうございます。
これからも応援お願いします。m(。_。)m
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