第13話 裏
私は全く知らない部屋にいた。それと身体が勝手に動いている感覚で夢だと分かった。何の夢かな?この前みたいな夢が良いな。
『おはよう、葵。』
私はリビングに移動してそこにいた葵に挨拶をした。夢の中の葵は今よりもかっこよくなっていた。今もかっこいいのに更に磨きがかかってるよぉ。
『あぁ、おはよう。今日は早起きだったな。』
葵が挨拶と同時にそんなことを言ってくる。この夢の私のいつもは早起きじゃないのかな?。
『むぅ、いじわる。いつもいつも早起きできないのは葵のせいなのにぃ。』
『ははっ、悪かった。だけど、玲奈も悪いからな?あんな可愛いことしてくれたらこっちだって……なぁ?』
やたっ!大人バージョンの葵から可愛いって言われた。言われたのは正確には私じゃないけど……どうせこうなるから一緒だよねっ!
『なぁ?……じゃないから!朝起きたら葵がいなくて寂しいの!』
『それは始めて聞いたなぁ。そっか、寂しかったのか。』
夢の私はとても素直みたい。それと、2人の会話を聞いて色々と分かっちゃった。そっかぁ、私が早起きできないのは葵とその……アレ、してるからなんだね。
『玲奈、ちょっとこっち来てくれないか?』
『むむ、私まだ怒ってるんだからね!』
私は怒っていると言っているけど言葉とは裏腹にてくてくと葵に近づく私。
ギュッ
『あっ……』
『これで機嫌直してくれないか?』
近づいていったら抱き寄せられてそのまま抱きしめられた。途端に機嫌がよくなる私。身体が一緒だからよく分かるんだよね。
『……頭も撫でて。』
それと、ただ単に頭を撫でるのもセットでして欲しかったから葵にリクエストする。私もして貰おうかなぁ。
『ははっ。注文が多いお嬢様だ。そんなとこも可愛いけどな。』
なでなで、なでなで
『むぅ……そうやってすぐに可愛いとか言う。』
うぅ、幸せぇ。近い将来こんなことを毎朝とまではいかないけど葵にして貰えるのは嬉しい。あ、でもこの夢を見たから今からして貰うっていうのもいいかもしれない。
私は幸せを感じながら夢から覚めていった。
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「んんっ……んむぅ……」
ゆっくりと目を開ける。寝起きはあんまり開けれないんだけどね。目を開けて見えるのは葵の部屋。
そっかぁ、そういえば私、葵の家に泊まってたんだった。確か寝る時って、葵に抱きしめられたまんまで寝ちゃったんだよね。
そこまで思い出して感じる葵の温もり。葵の手が丁度お腹に当たっている。温かいけど恥ずかしい。だから葵を起こすことにした。
「葵、起きて。」
1回目、反応無し。アラームとかしてないから熟睡してるんだよねぇ。起こすのも苦労する。
「葵、起きて。」
「……ぁぁ?」
2回目、少しだけ反応した。この調子なら後数回で起こせる。早く起こしてこの体勢を何とかしなきゃ。
「葵、起きて。」
3回目、葵が目を開けた。起きてくれた。これ以降は身体を揺さぶって起こそうかと思ってた。今の体勢じゃ出来ないから身体の向きを反対にして揺すろうと思ってたけど必要なかったみたい。
「あ、起きた。おはよう葵。」
葵が起きたから挨拶をする。それなのに葵はこっちを見てなんだかぼーっとしてる。視界に入ってるはずなのに返事してくれない。
「むっ、無視するなんてひどいよぉ。」
「………え?玲奈?」
文句を言ったら、まるで夢なんかじゃないかというように私を見てきた。ここにいるのが不思議という感じだ。
「そうだよぉ。なんだと思ってたの?」
「悪い、寝ぼけててな。それより、おはよう。」
私はここにいたんだからという意味も少しだけ込めて言ったら、どうやら葵は寝ぼけていたらしい。
だけど、葵はまたしばらくぼーっとしてから、何かを思い出したからのようにガバッと飛び退いて私から離れた。
「そ、葵?ど、どうしたの?」
急なことだったのでビックリして葵を見ると、なんだか少し顔が赤くなっているような気がした。どうしたんだろう。
「い、いや。なんでもないんだ。」
「何もないなら何で急に離れたの?私、何か嫌になることしちゃった?」
どうしたのか聞いても葵は取り繕った。取り繕うなら私が何かしてしちゃったのかなと思ってつい言葉にしてしまう。めんどくさい女って思われちゃう。
「ち、違う!玲奈はないもしていない。ただ、夢を見てな……」
「夢?」
「ああ……」
私が悪いと思ったものの違ったらしい。夢の内容を見て飛び退いたということなのかな?分からないところに葵が夢の内容を話してくれた。
夢の内容は、私と葵が同棲していること。葵はリビングにいて寝室から起きてきた玲奈に挨拶すること。機嫌が斜めになった私を抱きしめて、更に頭も撫でたらしい。
私は夢の内容を聞いて驚いた。だってこれって、私が見た夢と同じだよね?こんなことってあるのかな?
でも、こんなことが起きるってことはもう未来はほぼ確定してるってことだよね。そっか、そっかぁ私……
「んふ、んふふふふ。そうだったんだぁ。私が葵と同棲。えへへへへ。」
葵と同棲できることににやけてしまう。あぁ、早く高校卒業できないかなぁ。同棲が待ち遠しいよぉ。
ギュッ
「ふゃっ!?」
1人でにやついていたら葵に抱きしめられちゃった。少しビックリしたけど正面から抱きしめられて嬉しい。
「んふぅ~。あったか~い。」
正面から抱きしめられたことで、葵の匂いと温もりが感じられる。いい匂いだし、温かい。頭が馬鹿になりそう。きっと今の私の顔はとろとろだ。
なでなで、なでなで
「……!?……きもちー。」
葵を堪能してたらなんだか頭に感触が。そして不規則に動いていく。私、頭撫でられてる?始めてかも。
正直に言って、とても気持ちいい。匂い、温もり、なでなでの三点バーストは私には威力が高かった。そもそも葵がやってる時点で高威力なんだけどね。
とにかく今の私の顔はヤバイ。さっきよりも悪化して原形すらとどめてないかも。だけど止めて欲しいなんて思わない。
私は朝食の時間までずっとそうされてた。おばさんが私達を起こしに来てたことに気付かないで撫でられてた。
おばさんに見られて恥ずかしかったけど、とっても気持ちよかった。またやって欲しいなぁ。
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あとがき
今回の話は学校(授業中)で思い付きました!偉くないですか?(笑)
始めて、こう、キスの表現してみたんですが上手く出来てるか不安です。他の作者さん達はよく表現できますよねぇ。ウラヤマシ
今回の話は個人的にとても満足です。
いつもハート、星などありがとうございます。皆さんがポチっとされたのを通知で見るととても嬉しくなります。これからももっとポチっていってください(笑)。
これからも応援お願いします。m(。_。)m
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