変化していく日常
第4話 表
朝、目覚ましが鳴る前に起きてしまった。しばらく2度寝しようと目を瞑ってみるが寝れなかったので諦める。仕方ない。少し早いが学校へ行く準備でもしてるか。
俺はいそいそと制服に着替える。そして後はネクタイをするだけというところで、
ピンボーン
玲奈が来たようだ。学校がある日は一緒に登校するために俺の家に来るのだが、今日は早すぎないか?まだ6時だぞ?
「はーい。玲奈ちゃんちょっと待ってね~。」
いつも通り母さんが対応している。玲奈も来たので俺も1階に行きますかね。
「はい、今開けるわね。」
ガチャ
「おはよう。あら?どうしたの?」
ドタドタドタッ!
授業で使う教材をカバンに詰め込んでいると急いでこちらへくる足音が聞こえてきた。おいおい、階段で転ぶなよ?
多分、というか絶対玲奈だろう。母さんがこんなに急いで俺の部屋に来るわけないからな。
ガチャ!
ぎゅむ!
ドアを勢いよく開けたと思ったらそのまま俺に抱きついてきた。積極的なのは嬉しいが急なのは驚く。
「お、おい。玲奈?どうし……」
「う゛う゛。そう、わだじがら離れないでぇ。う゛あ゛~ん。」
離れないで?どういうことだ?俺は玲奈と距離をとるつもりなんてない。たとえ、玲奈に彼氏ができたとしても幼馴染として仲良くするつもりなんだが。それを玲奈に伝える。
「あー、玲奈?俺は離れないぞ?」
「ほんと?わだしのそばからいなくならない?」
「ああ、玲奈が離れるまではずっと側にいてやる。だから泣くなよ。」
「う゛ん。う゛ん。あ゛りがとぉぉ。」
安心したのだろうか。玲奈はまた泣いてしまった。俺は玲奈を抱きしめながらしばらく頭を撫でていた。
てかどうしてこうなった。全く分からない。後で聞いてみるか。今は玲奈を優先だな。
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「そう、ありがとう。ごめんね?」
ひとしきり泣いてスッキリしたのかさっきよりも落ち着いた感じで謝ってきた。
「別に気にしないから大丈夫だ。玲奈は落ち着いてきたか?」
「うん。もう大丈夫かな。それよりも今は恥ずかしい…かも。」
まぁ、それもそうだろうな。俺も泣いた後は恥ずかしくなる。ましてや人に見られていると余計な。今回は更に抱きしめたまんまだからな。俺だったら死ぬレベルかもしれない。
「それより、何かあったのか?」
朝6時という、とても早い時間にしかもパジャマのままで俺の部屋に来た玲奈。玲奈にとって良くないことが起きたのだろう。
「ううん。何もなかったの。」
は?何もないだと?さっきまでさんざん泣いていたのにか?
疑問ばかり増えていく。俺の頭はもうパンク寸前だ。
「何もなかったけど怖い夢を見たの。」
「夢?」
怖い夢を見ただけでなんて
「どんな夢を見たんだ?」
「葵が女の人と付き合って私の側からいなくなる夢。」
「え?」
なにそれ。全然怖くないじゃん。てかなんで俺が玲奈から離れていったら怖いんだ?むしろスッキリするんじゃないのか?
その疑問をとりあえず玲奈にぶつけてみた。
「そうなの。私もなんで怖いと思ったのか分からないの。でも、葵が私から離れていってからだの一部がなくなったような気がして。それに他の女の人と仲良くしているのを見たら。私、わだし……」
話しているとまた泣きたくなってきたらしい。俺に強くしがみついてきた。俺は頭を撫でてしばらく過ごす。やがて落ち着いたのか玲奈は抱きつく力を弱めた。
しかし、驚いたな。玲奈がこんなに弱るなんてよっぽど怖かったのだろう。この状態だと学校に行ったらまたぶり返すんじゃないのか?いまだに少し震えてるし。
解決法はあるにはある。しばらく玲奈が怖いと思っている逆のことをすれば良い。ただ、それだと俺がなぁ。まあ、俺も役得だからいいか。
「玲奈。学校、行けそうか?」
「ちょっと怖いかも。葵と離れたくない。」
「そうか。じゃあ今日はずっと近くにいるか。勿論、学校でもな。」
「え?」
何も分かっていなさそうな玲奈。しばらくはそれで良い。後から恥ずかしがらなきゃ良いんだけどな。でも、その時になったらもう大丈夫だろう。
俺は今後しばらくどうするか考えていた。
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あとがき☆
今回の話も読んでくれてありがとうございます。
個人的にはちょっと良いかも……なんて思っているのですがどうでしたでしょうか?
良ければハートや星などぽちっとしてくれたら嬉しいです。
どうでも良いですが個人的に、小説の泣いているシーンがとても心にくるんですよね。もちろん表現が上手い人のですよ?私のなんて全然ですからね。
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