第3話 裏
うぇへへ。葵に抱きしめて貰っちゃった。駄目もとでお願いしてよかった。葵も抱き心地が良いって言ってくれたからこれからもして貰っても大丈夫だよね。どっちも嬉しいから葵もしてくれるはず。
「んふふー。まだ温もりが残っている気がする。今日はよく寝れそうかも~。」
自分のベットにダイブしながら呟く。ベットといえばお昼の出来事、ゲームをする前だ。私は朝のアレのせいで恥ずかしかった。
でも、私が被ってた布団って葵のだよね?あれ?思い返すと私ってわりと恥ずかしいことしてる?
「うう~、なんてことを。今日だけでも恥ずかしいことがいっぱいだよ。」
でも、葵に可愛いって言って貰えたのは嬉しかったな。あの時の私は恥ずかしくて変に返しちゃったけど、本当は凄く嬉しかった。
その後ゲームをしたんだけど、葵が上手くてビックリしちゃった。昔は私の方が上手かったのにいつの間にか葵も上手くなってたんだもん。それに…
「私が勝つまで付き合ってくれるんだもん。」
普通は何回かしたら飽きてやめると思う。私も多分やめちゃう。だって勝ち負けがはっきりしているから。
でも葵は違った。何度ももう一回と言った私に嫌な顔せず付き合ってくれた。
「まさか私が勝って図々しくご褒美も求めてもしてくれるとは。」
本当は言うつもりなかったんだけどね。ふとした気の緩みで思わず言っちゃった。葵も良いって言ってくれたから後はさっきの通り駄目もとだ。
コンコン
そこで私はふと気付いた。
朝、私は葵に抱きしめられて眠った。昼、寝ぼけてぎゅっとして欲しいのを頼んでして貰った。最後は夕方かな?ゲームに勝ったご褒美で後ろから抱きしめて貰った。
コンコン
「あぅ……もしや今日1日抱きしめて貰ってばっかり?」
自覚したら恥ずかしくなってきた。心なしか顔も少し熱い。もしこの状態をお母さんに見られたら追求されるに違いない。
ガチャ
「玲奈~。お風呂入らないの?あら?」
「きゃあ!お、お母さん!?」
そんなことを思ったことが運の尽きらしく、お母さんは私の部屋に入ってきた。バッチリと見られた。
「ノックくらいしてよ!」
「したわよ?でも返事がなかったから入っちゃった。」
うそぉ、全然聞こえなかったんだけど。見られたからには仕方がない。さっさとお風呂に行って退避しよう。
「お、お風呂に行ってくるね。」
そそくさと、逃げようとする感じでお風呂に行こうとする私をお母さんが見逃すはずもなく、
「待ちなさい。顔を赤くしてた理由を詳しく教えて貰っても良いかしら」
肩をガッチリと捕まれて逃げられなかった。
「ほ、ほら。私が早くお風呂に行かなきゃお風呂も冷めちゃうでしょ?だ、だからその話はお風呂が上がってからにでも……」
「どうせお風呂入った後もすぐに自分の部屋に戻って逃げるでしょ。だから、今言いなさい。言うまでお風呂に入らせないからね。うちのお風呂は追い焚きあるんだから冷めたって大丈夫よ。」
必死に頭を回転させて考えた言い訳がこうもあっさりと完封された。こうなったらもうできることはないから私はお母さんに全部話すしかなかった。
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「へぇ。そんなことがあったのね。」
にやにやと、音がつきそうなほどの顔だ。
結局、朝から家に帰るまでの出来事を全て話してしまった。親に自分の恥ずかしいことを言うなんて私には耐えられなかった。
「もう許して…後は何も出ないよぉ。」
リビングのソファでブランケットを被りガクガクしている私。それを見てまた楽しんでいるお母さん。
「まぁまぁ、そんなこと言わないの。次で最後だから。」
「ほんと?」
次で最後なら余り変なことを聞いてこないよね?だいたい最後って大事な話をするイメージあるから大丈夫。
さぁ!どんとこ……
「葵君とはどこまでやったのかしら?」
おかあさぁーーん!?
そこからまた、質問という名の尋問(に近いもの)が始まった。私が何度も違うと言っても勘違いは収まらず、結局私と葵は人様に言えないようなことをしていたということになった。
しばらく葵と会うたびにこの事を思い出してしまって顔が熱くなりそう。これからどんな顔で葵に会えば良いのか分からないよぅ。
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