第2話 表
………なんか抱いているものが温かい。
抱き枕ってこんなに気持ちが良いものだっけ?いやそもそも俺抱き枕持ってねぇじゃん。
………じゃあこれは?
「んふふー、葵ー、もっとかまってー。」
「………」
こいつか。
てかなんでこいつが居る……あ、
「うるさくなって自分から引き寄せたんだった。」
俺、何やってんの?まぁ、別に今さら玲奈がベットにいたところで何も思わないしな。ほんとだぞ?
「ったく、幸せそうな顔しやがって。そんなに良い夢を見てんのか?」
フニフニ、フニフニ
ちょっとした悪戯心でほっぺを触ってみるが、これがまたとても柔らかい。いくらでも触れる気がする。
「んんっ……むふぅ」
やばい、起きただろうか?今起きられたら俺が恥ずかしくて死んじまいそうだ。頼む、起きないでくれ。
ガチャ
「葵ー、お昼ごはんできたわよ。あら?」
タイミングが悪いときに母さんが部屋に入ってきた。ノックくらいして欲しい。てか、今はそれどころじゃない、見られてしまった。
「か、母さん?ノックくらいしてくれよ。着替えてたらどうすんだよ。」
「息子の上裸なんて見ても気にしないわよ。」
「俺が気にすんだよ!」
「そんなことどうでも良いじゃない。それよりあんた、今玲奈ちゃんのほっぺ触ってたわね?」
どうすれば良い。なんも言い訳できないじゃん。もう見られちゃってるしなぁ。いっそのこと開き直るか。
「そうだよ。柔らかそうだったからつい触っちまった。女の子ってめちゃくちゃ柔らかいんだな。」
「そうねぇ。男の子よりかは柔らかいんじゃないかしら。でも、男の人も逞しくて素敵よ?お父さんはとっても素敵だわ。」
急に惚気られても困る。お陰で口の中が少し甘くなったじゃないか。
「んん……葵?」
どうやら玲奈が起きたらしい。羨ましいな。俺ももう少し長く寝ていたかった。いや、それだと一緒に寝ているところを母さんに見られていたかもな。それはそれで嫌だな。
「えへへー、そうー、ぎゅってして?」
寝起きでまだ寝ぼけているのかそんなことをしても欲求してきた。少しだけ呂律が回っていなく上目遣いで見上げてくる。
いや可愛いかよ!
「お、おう分かった。ぎゅってすれば良いんだな?」
手を玲奈の後ろにまわして抱きしめる。やばい、なんかふわふわしてる。それと、めちゃくちゃ良い匂いがする。ああ、これからは抱きしめるのが癖になるくらい素晴らしいものだ。
「んふふー、そうーあったかーい。」
「……そうか。」
こうして俺は玲奈の意識がはっきりするまでしばらくの間抱きしめていた。
母さんはずっと俺達を見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます