第1話 裏

 ピピピピピ!ピピピピピ!


 早朝、目覚まし時計が鳴り私は目を覚ました。まだ眠い、もう少しだけ寝ていよう。そんな悪魔のような誘惑が浮かんでくるが我慢する。


 なんとか布団から脱出しいそいそと着替える。最近は少し肌寒いが春になってきたこともあり少しずつ暖かくなってきているからとっても着替えやすい。やっぱり春と秋は良い。


 無駄なことを考えているうちに着替え終わったので一階に降りてみる。


「あら?今日は早いわね?」


 朝食の準備をしていたお母さんが驚いている。さすがに失礼じゃない?いやまぁ、私も自分で起きれるとは思わなかったけどね。


「うん。今日は葵を起こしたいから早く起きてみたの。ご飯食べたら起こしに行こうかなっ」


「そう。ならもう少しでできるから顔洗ってきなさい。」

(葵君を起こすためだけに早起きだなんてあの子もなかなかねぇ。自覚がないのがちょっと残念だけど。私に言ってないだけで自覚してるのかしら?)


「はーい」


 失敗したかも。もうちょっと遅く起きても良かったかも。一階に降りたらすぐにご飯食べられると思ってたのに。顔洗うのはご飯食べてからでも良くない?こう…歯磨きしてからみたいな感じで。


 まぁ、やんなきゃ怒られるんですけどね。私の家ではお母さんが絶対だから逆らったら何されるか分からない。


 しぶしぶ顔を洗ってからリビングに戻ると既に朝食が準備されていた。


「遅かったわね。もう玲奈の分は用意できてるから先に食べてて良いわよ。」


「あれ?お母さんとお父さんの分は?」


「こんな朝早くに3人分なんて用意できるわけないじゃない。私とあの人の分はあとから作るわ。」


「そう、ありがとねお母さん。頂きます。」


 ご飯を食べながらこれからの事を考える。今日は休日。どうせ葵の事だから早く起きたとしても二度寝するに決まっている。そんなこと私が許さないもん。葵には私を構って貰うんだから。


「もう少しゆっくり食べても良いのよ?そんなに葵君に会いたいのかしら?」


「ングッ」


 ゲホッゲホッ


 お母さんは何を言っているの?私が葵に会いたいなんてそんなわけないじゃない。休みの日で暇だろうから仕方なく構っての。


 変なことを言うお母さんを睨む。


「そんな目で見たってなにもでないわよ。ふふっ。早く食べないと葵君起きちゃうわよ?」


 むむっ、もうそんな時間なんだ。早くしなくちゃ。お母さんに構ってる暇なんてない。


「ごちそうさまでした。」


「はーい。お粗末様でした。」


 お母さんの返事を聞かずに歯を磨きに向かう。急がなきゃ本当に葵が起きてしまう。それに今日はちょっと工夫して起こしてみるの。


「行ってきまーす!」


 私は外へ出てすぐ隣の家へ向かう。幼馴染って家が近いから良いよね。

 時間にして30秒、あっという間に葵の家についた私。インターホンを押すとおばさんがすぐに出てくる。


「あら?玲奈ちゃんじゃない。葵に用があるのかしら?」


「はいっ。葵を起こして遊ぼうかと思って」


「あらあら、相変わらず仲良しね。さ、入って。」


 すぐに家の中に入れてくれるおばさん。何か邪推をしていそうで怖いけど葵を起こすのが優先だから気にしない。気にしたくない。


 出来るだけ足音を出さずに2階に上がり勝手に葵の部屋に入る。本当はいけないんだけど今回は仕方ない。そして目覚ましい時計の設定をオンにして部屋から出る。ふふっ、これで完璧。


 後は1階でゆっくりしていれば目覚まし時計が鳴って起きるはず。その後に部屋を訪れて葵と遊ぶのだ。今から楽しみでしかたがない。


「あー、早く目覚まし時計鳴らないかなぁ」


(玲奈ちゃんは本当に葵のことが大好きね。これで自覚していないのだから凄いわよね。将来が楽しみだわ。)


 おばさんから温かい目で見られつつ私はその時を待った。




 ____________________________________________





 ジリリリ!ジリリリ!


 よし!鳴った!


 今すぐにでも葵の部屋に行きたかったがその気持ちを抑えてゆっくり部屋に向かっていく。


 今頃葵は起きてるかな。これから葵と遊べるのがとても嬉しくてしかたがない。


 部屋の前についたが勝手に入ることはしないでノックをしっかりする。


 コンコン


 しばらく待ってみるものの返事がない。

 私はもう待ちきれないため返事を待たずに入っていった。


 葵は寝ていた。寝ていたのだ。


 ずるい。私はこんなに楽しみにしていたのに…一人だけ幸せそうな顔して寝てるし。


「ねぇ…そう、起きてる?」


 …起きない。これは……寝たふりかな?


「ねぇ、起きてるんでしょ。起きて、葵。」


 ……まだ寝たふり。2回も無視するなんて。


「もう…起きてってば。怒るよ?」


 ……また無視。うぅ、そんなに私と遊びたくないのかな?何回もこんなことしているから嫌いになっちゃったのかな?


 少し悲しくなっていたら葵が私を抱き寄せてきた。


「わぷっっ」


 急なことなので変な声が出てきちゃった。少し恥ずかしいかも。だけど一番恥ずかしいのは葵と抱き合っているこの体勢が恥ずかしいかも。


「あっ…ね、ねぇ。葵?」


「うるさいぞ、玲奈れな。俺は寝るんだ。お前も一緒に付き合え。」


 この体勢をなんとかしようと声をかけてみるけど無理だった。しかしこの体勢のまま寝るのはまずい。


 私の羞恥心が耐えられないっ!


「うぅ、こんな恥ずかしいことをさらっとやるなんて……でも、葵温かいな。私もだんだん眠くなってきた。………すぅ」


 どうにかしようと考えたものの早起きをしたせいで少し寝不足の私は葵の温かさで眠くなってしまいそのまま眠ってしまった。




 ____________________________________________


 後書き

 前回で書き忘れたためここで書かせていただきます。

 この作品は見きり発車です。いつも通り過ごしていたら急に1話表のシーンが浮かび上がってきて、耐えきれずに書いてしまいました。

 そのため、その後の展開は考えていないため更新が遅くなるかもしれません。ご了承くださいm(。_。)mすみません。


 ハート、星などいつでもお待ちしております。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る