すぐにデレちゃう幼馴染

nixyanta

いつもの日常

第1話 表

 ジリリリ!ジリリリリ!


 朝、設定していないはずの目覚まし時計が鳴ることによって俺は目を覚ました。といっても完全に目を覚ますわけない。どうせまたすぐに寝るからな。


 人の安眠を妨げるようにして鳴っている目覚まし時計を止めて俺はもう1度寝ようとしたんだ。俗にいう2度寝というやつだ。


 目覚まし時計が俺が設定していなく、誰がやったのかはどうでも良いからな。そんなこと考えるくらいだったら寝ていた方が良い。


 しかし、そんな俺に更なる追撃があるようだ。


 トン、トン、トンと階段を上ってくる音が聞こえてくる。そんなものを無視しようとするが、今度はコンコンとドアをノックされる。


 キィ…


 早く寝たいために無視をしていると許可もなく勝手にドアが開けられる。おい、勝手に入ってくるなよ…


「ねぇ…そう、起きてる?」


 寝てます。寝てるからさっさと出ていってくれ。俺の睡眠の邪魔をするんじゃない。


「ねぇ、起きてるんでしょ。起きて、葵。」


 ユサユサと体を揺さぶってくる。そんなことをしても無駄だ。俺は絶対に目を開けない。それに起きたら絶対遊ぼうとか言ってくるだろ。俺は休日はゆっくり2度寝して過ごしたい派なんだ。


「もう…起きてってば。怒るよ?」


 バシバシと更に強く叩いてきた。結構痛いので俺はである幼馴染を強引に引き寄せて抱き枕状態にする。こうすればもう叩くことも出来ないだろう。


「あっ…ね、ねぇ。葵?」


「うるさいぞ、玲奈れな。俺は寝るんだ。お前も一緒に付き合え。」


 急な接近で驚き、恥ずかしいのだろう。少し声が掠れている。しかし、俺はこれ以上何も言わせないように窒息しない程度に顔を胸に押し付ける。


「わぷっっ」


 何だか可愛らしい声が聞こえた。なんだよわぷっって。めちゃくちゃ可愛い。先ほど寝ると決めたのに玲奈を構いたくなるが堪える。


 玲奈を抱き寄せたことで温かい抱き枕(仮)ができた。ふむ、たまには一緒に寝るのも悪くないかもしれない。こんなに温かければ余り眠れないときでもすぐに寝れそうだ。


 玲奈を抱いていると急に眠気が襲ってくる。これでようやく2度寝ができる。


「うぅ、こんな恥ずかしいことをさらっとやるなんて……でも、葵温かいな。私もだんだん眠くなってきた。………すぅ」


 意識を手放そうとしていた時にそんな声が聞こえた。恥ずかしいことというが今の俺にはそこまで恥ずかしくもない。眠いからな。


 それに玲奈も早起きしたらしいのか寝てしまった。休日くらいゆっくりすれば良いのに。


 それにしても俺が温かい……か。俺よりも玲奈の方が温かいと思うけどな。


「お休み、玲奈。」


 こうして俺の意識は落ちていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る