第32話 多数派が常識的

 平日の疲れを癒すため土日は家でゆっくりと過ごす予定だった。


 迎えた土曜日の朝。僕は何故かベッドの上ではなく、照りつけるアスファルトの上にいる。


 隣にいる由芽に問う。


「ショッピングモールって早朝から並ぶものだっけ?」


 目の前には開館時間がまだ先であることを伝える看板。ちなみに、僕たち以外に並んでいる人はいない。


「重要なのはやる気だね!!」


 うーん・・・・確かに?



 僕の未来予知がすんなりと受け入れられたあの時を回想する。


「だから、先輩も嫌がらずに勉強してね! そうしないと文集を発行出来ないよ?」


「ううううぅぅぅ・・・・」


「我慢する時よ、雫」


 姫花が偉そうに先輩を下の名前呼びにしている。ちょっと調子乗ってるな?


「わかxt平日の疲れを癒すため土日は家でゆっくりと過ごす予定だった。


 迎えた土曜日の朝。僕は何故かベッドの上ではなく、照りつけるアスファルトの上にいる。


 隣にいる由芽に問う。


「ショッピングモールって早朝から並ぶものだっけ?」


 目の前には開館時間がまだ先であることを伝える看板。ちなみに、僕たち以外に並んでいる人はいない。


「重要なのはやる気だね!!」


 うーん・・・・確かに?



 僕の未来予知がすんなりと受け入れられたあの時を回想する。


「だから、先輩も嫌がらずに勉強してね! そうしないと文集を発行出来ないよ?」


「ううううぅぅぅ・・・・」


「我慢する時よ、雫」


 姫花が偉そうに先輩を下の名前呼びにしている。ちょっと調子乗ってるな?


「分かった! みんなで勉強しよう! 先輩も1人じゃ出来ないでしょ?」


「うん・・・・」


「私、土曜日しか空いてないわ」


「なら土曜日で!」


 即断即決。僕の意見など聞かずに勝手に進む会議。もう僕帰っていいですかね。


「佐は予定ないよね?」


 あ、と何かに気づいたような顔をして由芽が僕に確認を取る。


 まぁ、聞かれたところで予定なんてものは存在しない。・・・・自分で自分が悲しくなる。


「・・・・ないよ」


「りょうかい!!!」


 とんとん拍子で進む計画。その中に入ることはせず、ただ窓の外を眺める。こういうのは女子に任せた方が良いんだ。


 窓から流れる風は涼しくなり、夕刻の終わりを告げている。


 風に当たりながら、目を瞑っていると不穏な言葉を耳がキャッチした。


「ちょっと待って! 何でショッピングモール!?」


 僕が聞いたのは近所にあるショッピングモールの名前。勉強するなら図書館とかじゃないの!?


「え? 勉強するんでしょ?」


 ケロッとした顔で答えるのはまさかの先輩。そんなこと言ってるから勉強出来ないんじゃないですか!?


 慌てて常識的な判断力を持っている人を探すが、視界に入るのは先輩の発言に頷く女子二人。どうやらこの場おいて、僕は常識的ではないらしい。


「・・・・どこでするんですか?」


「カフェだよ~?」


 のんびりとしたいつもの声で、どこが疑問なんですかとでも言いたそうに問う先輩。


 ・・・・僕は諦めた。カフェで勉強しよう。さぞかし集中できるに違いない。


 こうやって僕は思いもよらずショッピングモールで勉強会をすることとなったのだ。

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