3話 差別。

 ――機関の学園に入学して数日、昔から俺の扱いは何一つ変わっていなかった。


「――おい、なんでお前みたいなゴミがここにいるんだぁ?」


 俺をバカにする声。それに対して、俺が取る行動もいつも通り、無視をすることだった。


「おい!無視してんじゃねぇよ!」


 敢えて俺は周りを見渡す。しかし、俺以外に人がいなかった。


「お前だよ、お前!」


 そう言われて、俺は自分を指差す。


「そうだよ、お前以外に誰がいるんだよ!」


「ん?俺に何か用事でもあるのか?」


「お前みたいなGランクのゴミが、どうしてここにいるのかって聞いているんだよ!」


「そんなの、俺が特殊能力者だからに決まっているじゃないか」


「まあ、そうだよなぁ。そうじゃなきゃここにいねぇもんなぁ。でも、特殊能力者のくせにGランクって……笑えるな」


 俺は昔から見てきた、この人をバカにする笑顔というものを……。


「──それで、他に用事がないなら俺は帰るけど……」


 そして、俺が帰ろうとすると……。


「ああん?帰るだぁ?」


 彼は不機嫌そうな顔で、声で俺を呼び止める。


「なんだよ、まだ何か用事があるの?」


「お前、俺と戦え。お前も特殊能力者なら戦えるだろ?」


「ああ、別に戦うのはいいけど、お前は誰なんだ?」


 俺がそう言うと、彼は驚いたようで……。


「はあ!?俺のことを知らないのか?まあ、Gランク如きじゃ俺のことを知らなくてもしょうがないかぁ。それなら教えてやるよ、俺はこの学園トップ10の1人。俺の名は――東条とうじょう一樹かづきだ!」


 俺をバカにしながらも、自己紹介をしてくれた。


「そうか、俺の名前は橘瑞人だ。よろしく」


 そして、俺と東条は学園のバトルステージに移動した。


 ────俺の戦いが始まる、今この場所から。

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