2話 機関。

 ――結局俺は、失踪した姉さんの情報を手に入れるためにA級機関エフォートに入った。正確には、機関が運営している学園、羽龍学園に入学した。


「それで、姉さんは今どこにいるんだ?」


「え?そんなこと私に分かるわけないじゃないですか」


「はあ!?だってお前、姉さんの情報持っていたじゃないか!」


「あー、あれはお父様からいただいたものですから」


「それならお前の父親に会わせてくれ。お前の父親から話を聞くから」


「それは無理ですよ、お父様に会うならAランク以上でないと……」


「な、なんだよそれ、俺みたいな底辺は会う資格がないってことかよ……」


 うつむく俺に、彼女は言った。


「そういうことです。悔しかったら、少しでも足掻いてみなさい。橘瑞人君」


「──ああ、そうしてやる。俺は変わるって決めたんだ、少しでも足掻いてみせるさ!」


 ──俺は変わる、今までバカにしていた奴らを見返してやる。そう決意した瞬間だった。


 そしてその時、花嶺霞の顔は笑っていた。そんなこと、俺は気づいていない。

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