8-2.カノジョと彼女の秘密

「なあ、春森。いい加減、教えてくれよ」



 道すがら、オレは何度も質問した。

 聞きたいのは言うまでもなく、『玖波との間になにがあったのか』だ。ふたりの元まで訪れたときの感じからすると、なんか深刻そうな内容であった気がしなくもない。

 それに玖波と春森が話すような共通の話題ってなくない?

 あったとしても、オレのこと……?

 だとしたら、いったい何を話したっていうのさ。ところが、春森はいっこうに教えてくれなかった。



「ダぁ~メ! いくら三田村君でもこればっかりは教えられないよ」

「そこをなんとか! ねえ、頼むよ! 春森ぃ~……」

「泣き言みたいに言ってもダメなものはダメだから」



 んだよ、春森のケチ!

 ちょっとぐらい教えてくれたっていいじゃん。でも、当の本人はいつものようにイタズラな笑みを浮かべている。

 またなにか企んでるような予感……。



「なら、1つゲームしよっか」



 ホラ見ろ? さっそく言ってきた。

 春森ってば、いったいなにを考えてるんだ? ってまあ、いつも通りオレをからかって遊ぶつもりなんだろうけどさ。



「ゲーム?」

「もし、三田村君が私に勝てたら、さっき玖波さんと話した話の内容を教えてあげる」

「負けたら?」

「うーん、そうだなぁ……。ひとつだけ私のお願いなんでも聞いてくれるっていうのはどう?」

「……なんでも言うこと聞くって。またオレにくだらないことさせようっていうんじゃないよね?」

「大丈夫、大丈夫。ちゃんとしたことをしてもらうから」

「本当に?」



 こういうときの春森って疑わしいんだよなあ。

 なんというか、いつのまにか誤魔化されてる感じもしなくもないし。だからと言って、信じないワケにもいかないんだけど。

 悩んだあげく、オレは春森を信じてみることにした。



「わかった。それで何をすればいいの?」

「うん、ちょっと試したいことがあってさ。それに付き合ってくれないかな……って思ってさ」

「やりたいこと?」

「実は……」

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