常駐警備の警備料金と実態


 常駐警備は、その名の通り常に警備員が施設に常駐している。これに対抗するのが機械警備である。経費面で考えれば、警備料金は圧倒的に常駐警備が高い。つまり、人件費がかかるということだ。


 常駐警備料金は配置ポスト数によって決まる。例えば、警備室に1名配置するとして、1名が24時間365日勤務することはあり得ない。


 計算方法としては、実働勤務時間が1日20時間として、それに365日を掛ける。それを、会社で決めた月の勤務時間(法定時間内の勤務時間)掛ける12月で割る。

 20*365/(174*12)=約3.5、即ち1ポストには3.5人が必要となる。

 これに、一人当たりの警備料金を掛けることになる。例えば、一人に対し月37万円支払うとすれば、37万円掛ける12月掛ける3.5人となり年間1554万円の警備料金が発生する。


 月一人37万円というと、そんなにかかるの、と思われるかもしれないが、実際に警備員に渡るのは半分弱である。

 会社は取り分が半分ではあるが、その中から管理部門の人件費、家賃や細かく言えば、警備員の制服代や新任、現任教育の費用も発生する。

 正直、常駐警備はあまり旨味があるとは言えない。それに比べ機械警備は、初期費用の機械(センサー等)を設置すればあとは定期的に警備料金が入る。


 大手2社のベコム、バルサックは早くから機械警備に重点を置いていたが、後発の大同警備は既に寡占状況にある機械警備に割り込むことが出来ず、止む無く保安警備や交通誘導警備に力を入れた。


 一人当たり37万円と紹介したが、今日ではこの料金は難しい。もっと低いのが現状で、弱小警備会社は警備料金を叩かれて採算を割ることもある。

 給料が安ければ、それなりの人しか集まらない。警備員は不測の事態が発生すれば、滞りなく対処出来ると思われるが、それは幻想である。


 例をあげれば、火災受信盤で火災発生の表示がされたが、警備員は火災放送や地区音響停止釦を押さず、現場に急行したため、館内は騒然となったこともある。

 警備先からは顰蹙を買ったが、常駐警備員が高齢化、老齢化している原因に警備料金の低下があることは自明の理である。


 警備料金が安ければ優秀な人は望めない。今日では警備員約50万人いるが、その大半はいざとなれば、役に立たないと云うのが偽らざる現状である。

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