管理センタービル1階防災センター室

「副隊長、本当に大丈夫ですか」

「何、相手は年寄りだ。しかも倉庫係で、警備のことなど何も分かる筈はないさ」


 管理センタービルは地上11階、地下1階で、2名いる副隊長の内1名が必ず夜勤を担当し、何かあれば管理センター責任者に連絡する、警備の要である。


 副隊長の今枝は警備歴20年、60歳の定年まで10年ある。質問した班長の水野は新大卒の警備歴5年で27歳。


 二人は図師から、本社が真地間の自殺について探りを入れているので、十分注意するように言われていた。


「しかし、インターチェンジ警備室の栗木さんは、真地間の自殺の原因がパワハラだと皆に触れ回っていますよ」

「何、言いたい奴には言わせておけばいいさ、どうせ彼奴も後2年だ」

「そうですね、栗木さんは常に副隊長に反抗的ですからね。近藤隊長も嫌っているし、図師課長も彼奴の顔は見たくないと」

「そうだろう、何かと現状を変えるべきだと吹聴しているが、何も分かっていない奴だ」

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