第3話雪

あの後俺と佳奈ちゃんも自己紹介したが…


(先輩、先輩)


と、小声で佳奈ちゃんは話しかけてきた。


(どうした後輩)


(真白さん全然話さないですね)


(まぁ、話すのが苦手なんじゃないのか?)


(え〜…てか、先輩もさっきから真白さんの事じっと見てますけど…一目惚れですか?)


「いや、違っ!」


「ちょ!声が大きいですよ!」


「佳奈ちゃんだって!」


「で!どうなんですか!?」


「本当に違うから…けど、少し気になるのは確かだな」


「ふむ…」


俺がそう言うと佳奈ちゃんは顎に手を当てた後トコトコと真白さんの所に向かった。


「真白さん少し良いですか?」


「大丈夫ですよ」


「あの…しゅ、趣味はなんですか?」


「趣味…?」


「えっと、答えずらければ休日とか何してるかでも…」


と、指をもじもじしながら聞いている様はまるで…


「いや、お見合いかよ!」


俺は思わず突っ込んでしまった。


「私こう見えてもコミュ障なんですよ!少しは助けて下さいよ!」


「何でだよ!」


「先輩のケチ!おたんこなす!」


「ケチ!?おたんこなす!?言ったな後輩…!」


「えぇ!言いましたよ!何ですか?逃げ足は私早いですよ!?」


「逃げるのかよ!戦えよ!」


そう俺と佳奈ちゃんで小学生のような喧嘩を繰り広げてるとキョトン顔でこちらを見ていた真白さんはクス…と笑った。


「ふふっ…仲がいいんですね」



「「どこが!?」」


「わぁ…息ぴったり。それに私のことは気にしなくてもいいですよ?」


「いや…だが、なぁ?」


「う〜ん…」


と、俺と佳奈ちゃんが顔を見合わせながら唸っているとさらに真白さんは言ってきた。


「それに…私は1人が好きなんです。なのでお構いなく」


そう言い真白さんは持ってきていたバックから1冊の本を取り出し読み始めた。


「はぁ…了解だ」


俺は少しため息を吐きながら部屋に備え付けてあるソファーに腰掛けた。


「先輩、先輩。いいんですか?」


と、佳奈ちゃんが俺の隣に座り聞いてきた。


「言いも何も…本人がそう言ってるしそれに…」


真白雪。昔死んだはずの友達にあんなに似ているんだ。無関係なら他人の空似で理解は出来るが…後で神田さんに調べてもらうか。


「まぁ…そうですよね。これから話す事もありますもんね!」


そう言い佳奈ちゃんも自分を納得させた。


そしてしばらく各自好きに過ごしていると神田さんのパソコンにメールが入った。


「ん?…あ〜…うわぁ…」


神田さんはパソコンを確認すると段々と顔が渋くなって言った。


「神田さん、どうしたんですか?」


と、佳奈ちゃんが神田さんに聞くと…


「上から指令入ったんだよ…しかも今回の事件は凄く物凄く面倒臭い感じ。見てみ」


そう言い神田さんはパソコンをプロジェクターに接続して俺達に見せてきた。


『SARS所属 神田 部隊 様へ


1週間前山形方面で変死体が見つかった。

犯人の能力は不明。下記に現状分かっていることを書き記す。


・死体は腕、足、頭部がバラバラにされている

・刃物で切った後は無し

・狙われているのは女性のみ

・1週間の間に3件の同様の事件を確認


神田部隊は至急現場に向かい対応せよ。

場合よっては処罰を容認する。』



「「うわぁ…」」


と、俺と佳奈ちゃんは思わず唸った。


「せ、先輩?私グロイのはちょっと…」


「奇遇だな後輩。俺もだ」


そう話していると神田さんが…


「まぁ、ネームドをよこしてきた時点で何かあるかもって思ってはいたが…まさかこんなのを回されるとは…」


と、頭を抱え椅子の上に体育座りしてしまった。


「…ふぅ」


と、今まで静かに本を読んでいた真白さんはゆっくりと本を閉じ軽くため息を着いたあとに立ち上がった。


「私は失礼します」


そう言い真白さんは自分のバックを持ち部屋から出ようとしていたので俺は声をかけた。


「ちょ、どこに行くんだ?」


そう聞くと真白さんははっきりと答えた。


「決まってます。山形にです。内容を見るに緊急性が高いので直ぐに動きます。それと…私は1人で動きます。何か分かれば連絡しますので。では」


そして踵を返し真白さんは部屋を出ていった。


「え、えぇ…」


俺はそれしか言えなかった。


「わぉ…真白さん中々クールですね…」


と、若干的はずれな台詞を言う後輩をジト目で見ながら俺は告げた。


「俺らも行くぞ。…山形に」


「「えぇ〜…」」


と、ハモる神田さんと佳奈ちゃんを無視しながら。

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昼は高校生夜は対異能特務機関 青の空 @ShimonZu

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