第2話始まる物語

さて、あの後も先生の話は続いたが俺は睡眠学習をしていた為ほとんど聞いてはいない。

まぁ、ほとんどが知っている事なので問題はないのだ。


そうしているうちに今日の学校生活も終わりを告げ下校時間になった。


「ふぁ〜…今日もよく寝た…」


俺は瞼を擦りながら机から顔を上げた。


「あ〜…今日も行かないと行けないのか」


俺が所属しているSARSはほぼ毎日の様に何も無くても本部に出社しないといけないのだ。

一応学生ということもあって学校が終わってからで良いと言われているが…


「アレだよな…ブラックだよ。ブラック」


わんちゃん労働基準監督署に言えば…とか考えていると教室が少し騒がしいことに気づく。


「あ!先輩、早く早く!」


まぁ、その元凶は声を聞いただけで分かった。


「後輩…お前か…」


「…?何がですか?」


はぁ…いつもこうだ。自分が魅力的な女性とは気づいていないのだろうか。


「今日もいつもどうりか…」


俺は周りの嫉妬の目や呪言を吐く奴らを横目に見ながら呟く。


「よく分かりませんけど早く行きましょ?さっきメールがありましたけど今日はなんかあるらしいですし」


「え…?俺には届いて無いよ?」


「え…?」


俺はポケットからスマホを取り出した。

そしてメールを開くが…


「うん。やっぱり届いてない」


それを聞いた佳奈ちゃんは何か可哀想な者を見るような目で見てきた。


「…なんだよ後輩」


「ふふっ…せ、先輩…ブフッ!ど、ドンマイで〜す…ふふっ…」


「おいコラ美少女後輩。貴様今吹き出したな?おい、辞めろその顔!俺はメンタルマンボウなんだぞ!弱いんだぞ!?」


「も、無理…あっはは!!」


と、最後には腹を抱えて笑われた…。


ーPM.19:00


新宿 SARS本社


「お〜、やっと来たねお二人さん」


俺と佳奈ちゃんを出迎えてくれたのはもう1人のメンバー神田陽かんだようさんだ。


基本はダル着で髪はボサボサ。けど、彼には特別な異能がある。

それは電子支配者エレクトロニクマスターだ。彼は元引ニートでハッキングしまくっていたのだがそれがそのまま異能として電子機器ならなんでもハッキング出来るようになってしまったのだ。


「はぁ…マイナス100点満点です。神田さんもう少し外見に気を使って下さい…」


と、俺の隣にいた佳奈ちゃんは死んだ目で言ってはいるがそんなものは聞こえないとばかりに神田さんは話を続けた。


「聞いて2人共!このメンバーに1人新しい子が入るんだよ!」


「「新しい子?」」


「そうそう!しかも九十九君と同じ別名ネームド付きの子!さっき調べたけど…中々癖があって面白い子だよ?」


と、神田さんは珍しく興奮した様子で語っている。


「新しい子…女子ですか?」


と、佳奈ちゃんは顎に手を当てて神田さんに問うた。


「そうだよ!調べて分かったことは異能は氷。基本は前衛タイプで…尚且つ美少女!異能の影響で髪と肌は白いらしいよ?まるで2次元から飛び出してきた存在だね!そして二つ名は『氷の女王』だってさ!」


「氷の女王…」


俺は静かに呟く。

確かにその噂は聞いたことがある。

なんでも犯罪者は許さない性格で少しやりすぎてしまうほどに痛めつけるそうだ。

まぁ、正義感が強いといえばそれまでだが…


「神田さん。その人とは相性か悪いんだが…」


そう、俺の基本的な異能は火属性なのだ。

氷属性のその人とは相性が悪すぎる。

しかし、俺の心配は無用だと言わんばかりに神田さんは言う。


「大丈夫だって!指示は俺が出すしそれに…」


「それに…?」


「美少女って最高だよね!」


と、神田さんはサムズアップをかましてきた。

俺はその姿をジト目で見ながら後輩に問うた。


「なぁ…後輩」


「なんでしょう…先輩」


「この人こう見えて俺より歳上なんだぜ?」


「アレですね…私の異能でビルから落としてあげましょうか?」


「いやぁ…どうだろうな。落としたくらいでこの人の性格が変わるかどうか…」


「いや、君たち酷くない!?」


そう話していると扉がノックされる音が聞こえた。


「さぁ、来たようだよ?」


そう言い神田さんはゆっくりと扉を開けた。


「失礼します」


と、言いながら入ってきたのは…御伽噺の世界から出てきたような美少女だった。


「初めまして、私の名前は真白ましろ ゆきと言います。異能は氷です」


と、抑揚なく自己紹介をした。


しかし俺にはそんな事に気づく余裕はない。


…」


そう、10年前に死んだはずの友達にそっくりだったからだ。

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