昼は高校生夜は対異能特務機関
青の空
第1話エピローグ
「あ…あぁ…!」
赤…赤…赤。
僕が暮らしていた施設は炎に呑まれていた…
「ひゃはは!燃えろ!燃えろぉ!」
僕の目の前で炎を自由自在に操り更に火の勢いを上げている男が発狂したように笑っていた…。
「うわぁぁぁぁあ…!!」
僕は叫んだ。
そして僕もその男のように異能を発動した。
そしてその瞬間…全ては灰燼に帰した。
「暁斗…悠斗…美香…雪…!」
そして僕は燃え盛る中同じ施設で育った友人の名を呼ぶ。
しかしそれに答える者は居ない…。
「う、うぅ…なんで…!どうして…!」
そして僕は警察が来るまでただただ泣き続けた。
〜10年後〜
PM.24:00
-東京 渋谷
「はぁ…はぁ…はぁ…!クソ!」
スーツを着た男は夜の路地を走っていた。
『
そして少年の声が聞こえたと思ったら赤く燃えている火の弾がスーツ姿の男に直撃し、吹っ飛ばされた。
「ぐあっ!…チッ!何なんだ!お前は!」
男は受身を取り、自身を攻撃してきた少年を睨み付けながら問うた。
「国家直属対異能国務機関SARS所属
それを聞いた男は顔を
「チッ…SARSかよ。あ〜あ、面倒なのが来ちまったが…ククッ俺は運がいいな。小便くせぇガキ1人なら…!」
そして男は両手を前に出し…異能を発動した。
「吹っ飛べ!『風爆!』」
男がそう唱えると男の腕に風が集まり可視化する程凝縮された風が悠めがけ打ち出された。
しかし悠はため息を吐きながら…
「はぁ…面倒臭いな。『炎装 鎧』」
と、呟くと悠の全身から火が吹き出した。
そして男が打った風の玉が悠に直撃したが…
「なっ…無傷…だと?」
「なぁ、もう諦めろよ力の差は分かっただろ?」
「まだだ!こんな所で終われる訳が…!」
と、男は最後の悪あがきをしようとした瞬間…
「はい!終了で〜す!」
と、可愛らしい声と共に手に持っていたバットを神代に振り下ろした。
「ガッ…!」
神代はその衝撃で気絶した…。
「えぇ…何してんの?佳奈ちゃん」
と、俺は軽く引きながらいきなり現れた少女…
「先輩が早くしないからですよ!見て下さい!もう深夜ですよ!」
「あ、あはは…つい、な?」
「全くもう!夜更かしは美容の天敵なんですよ?」
と、佳奈ちゃんはぷりぷり怒っていた。
「大丈夫だって。佳奈ちゃんは可愛いから!うん!」
俺は必死に佳奈ちゃんのご機嫌をとっていると耳につけていたインカムから
『はいはい、痴話喧嘩もそこまでにしとけよ〜。回収班を向かわせてるから今日はこのまま解散で。じゃあお疲れ様〜』
そして一方的に言い終わった後通信は終了した。
「はぁ…神田さんも適当すぎます!全くもう…!」
「そんなに怒るなよ…いつもの事だろ?」
説明をすると俺が所属している国家直属対異能国務機関SARSとはその名の通り普通では解決出来ないような事件などを専門として動く警察みたいなものだ。
そして、俺と佳奈ちゃん。そして先程一方的に解散を告げてきた神田さんは1つのチームとして動いている。
「はぁ…そうですね。明日も学校がありますし帰りましょうか」
「だな。はぁ〜!今日も働いたなぁ…」
そうボヤきながら俺と佳奈ちゃんは夜の街を歩き始めるのだった。
〜次の日〜
-AM.7:00 九十九 自宅
ピピピピピピピ…ガチャン!
「あ〜…眠い〜…」
俺はモソモソとベットから顔を覗かせた。
「流石にきついなぁ。帰ってきたの深夜1時だぞ…?」
全くブラックもいい所だが…まぁ、そういう契約だからな。大変な分給料は良いしこうして1人暮らしも出来る。
そうと思っていると俺の腹が『飯よこせ!』とばかりに音を鳴らした。
「あぁ…腹減った。飯食うか」
そう言い俺はリビングに向かった。
「あ!先輩!おはようございます!」
と、元気よく挨拶をしてきた佳奈ちゃんがエプロン姿でキッチンに立っていた。
「あぁ…おはよ…。ん?」
あれ?ちょっと待て。
俺は1人暮らししてるんだぞ!?
「…おいコラ後輩」
「なんでしょう、先輩」
「鍵俺閉めてたよな?」
「閉まってましたね」
「どうやって入ったって…あ〜…」
「ふふん!私の異能『
と、佳奈ちゃんは胸を張りドヤってきた。
「普通に犯罪だぞ?あれか?朝からSARSの仕事しなきゃならんのか?」
俺は額に手を当てながらそう言った。
が、佳奈ちゃんには柳に風…。
「あー、せっかくご飯作りに来たのに。そんな事言う先輩には食べさせませんよ?」
と、逆に脅してくる始末だ。
「そう言うと聞こえは良いが食費浮かしに来てるだけだろーが。はいはい。先輩は諦めますよ。顔洗ってくるから準備しといてくれ」
「は〜い!洗面台はそこのドアの先ですよ〜」
「知ってるわ!てか、ここ俺の家だから!」
そんな少し騒がしい日常が始まったのだった。
「そろそろ行きますよ〜!」
「分かってるって」
俺と佳奈ちゃんは同じ学校に通ってる為こうして一緒に学校に行くことが多い。
と、言うか…
「あのさ、後輩」
「はい?なんでしょう先輩」
「いやさ、最近慣れてきたけど佳奈ちゃんの家隣じゃん?」
そうなのだ。今俺は20階建てのマンションに住んでいるのだが…佳奈ちゃんは俺の家の隣に住んでいるのだ。
「そうですね。何か足りなくても先輩の家に行けばあるので助かってます!」
「…最近色々物が無くなってると思ったら犯人はお前か!」
「ふっ…先輩。今気づいたんですか?」
「よろしい
そう後輩とじゃれ合いながら俺たちは登校した。
補足だが俺と佳奈ちゃんが通っている学校は至って普通の学校…と、言いたいところだが勿論そんなことは無い。
『おはよ〜!』
『おはよ!いいなぁ…空飛べて』
『あはは!でしょ?』
とか。
『うぉぉぉぉお!』
『お!帰宅部の高梨じゃん!今日は何キロ出た?』
『新記録だ!チャリで身体強化した結果…60キロは超えたな』
とか。
これが日常となっている学校なのだ。
因みに学校名は【特異能専門高校】通称特高だ。
そこで俺は2年生。佳奈ちゃんは1年生だ。
「じゃ、先輩!授業中は寝ちゃダメですよ?」
「無理…もう眠いもん」
「はぁ…少しは頑張って下さいよ…」
「はいはい」
そんなこんなで俺と佳奈ちゃんは下駄箱で別れ俺はそのまま自分の教室に向かった。
そして席に座り腕に頭を乗せ…目を瞑った。
…正直に白状すると俺には友達は居ない。
アレだぞ?俺はボッチでは無い。孤高な存在なのだ。
と、思っていると先生が来てHRをした後そのまま授業となった。
「さて、昨日の授業の整理をしようか。まず今3人に1人は異能を発現している世界になったが…」
先生の説明をまとめると…
今から20年前オーストラリア方面に隕石が落ちた。そしてその隕石を調べてみるとあるウイルスが見つかった。
そして研究の結果そのウイルスに感染すると強制的に人間の脳の潜在能力を爆発的に高める事が分かった。
そしてそのウイルスはあっという間に全世界へと広まり潜在能力を高められた人間達の中に超能力の様な奇跡の力を発現する者たちが現れた。
初めは人間の進化だの神からの贈り物だの…色々騒がれていたがやはり人間は神のような力を持っても愚かだった。
異能を使った事件が全世界で多発したのだ。
そしてそれに危機感を覚えた国はある特殊な機関を作った。それが今から10年前に出来た俺が所属している『国家直属対異能国務機関SARS』なのだ。
所属できるのは異能を持ちある一定の戦闘能力があるか、それを補助出来る者だけなのだ。
「と、ここまでは昨日話したが何か質問のある者はいるか?」
と、先生が聞くと1人の生徒が手を挙げた。
「なんで脳の潜在能力が上がると異能が発現するんですか?」
「いい質問だ。それはまだ研究途中らしいが分かってることはある。それは人の思いの強さにより発現する異能は変わるということだ」
そう、例えば移動が面倒だなと強く思えば佳奈ちゃんの様な瞬間移動系の異能が発現し、強くなりたいと思えば身体強化系の異能が発現する。
俺の場合は…うん。
そうして先生は授業を続けたのだった。
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キャラ紹介
九十九 悠
年齢 16歳
異能 火 ???
特徴
一人暮らし
黒髪黒目
一人称 僕→俺
身長175cm 体重63キロ
6歳の頃に国に保護された。
そして高校生になった時にSARSへと入った。
異能は火。影響を与えたのは施設を燃やされたのが原因。
水瀬佳奈
年齢15歳
異能
特徴
九十九と同じく一人暮らし
髪色 ピンク
一人称 私
九十九と同じくSARS所属。
九十九とは同じマンションの隣の部屋で暮らしているがほぼ毎日九十九の家に勝手に出入りしている。
性格は明るいく見た目も過小評価しても美少女の為惚れている人は多い。
けど、本人は無自覚。
美容命なJK。
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