おまけ

おまけその1 あんなこと、二度と言うな

98話、解散後の和泉と広橋の話。



――――――――――――――――――



櫻木さんたちが帰った後、俺は歩の家に残った。

もちろん、歩を抱きしめたまま。

今日は、絶対離してやらない。

いくら櫻木さんと西野がああやって仲直りして付き合い直したからって、冗談でも「一度別れる」なんて言うのは、許せない。

思い出したらムカついてきた。

俺は、歩を抱きしめる力を強くした。


「大輔、ごめんね」

「……謝ったって、だめだからな」

「うん、わかってる」


もちろん、歩が本心から謝っているのはわかっている。

俺がただ駄々をこねて拗ねているだけなのもわかっている。

やり場のない感情をどうしていいかわからず、歩のうなじに顔を埋めて、ぐりぐりと押し付けた。


「くすぐったい」

「んー」

「ちゅーする?」

「しない」

「じゃあ大輔に許してもらうには、どうすればいい?」

「……俺が勝手に拗ねてるだけだから、許すとか許さないとかじゃない」

「じゃあ、機嫌を直してもらうにはどうすればいい?」

「……あんなこと、二度と言わないって誓ってくれ。その……本当に別れたい時が来たらしょうがないけど……でも、俺は歩のこと大好きだから、絶対離れたくない」

「うん、わかった。私も、大輔のこと大好きだよ。私は、ずぅーーーーっと、大輔のもの」


俺は、歩を一旦離して、正面から抱きしめた。

そして、歩の左肩に噛み付いた。

跡が残るであろう強さで歯を立てて、思い切り吸い上げる。


「んんっ、ぅ、だいすけぇ」


左耳から聞こえる嬌声が、俺の吸う力を強くさせた。

ぴくん、ぴくんと歩が体を震わせる。

口を離すと、明日までには消えない跡がしっかりとついていた。


「……はじめて、大輔からつけてくれた」

「……ごめん、痛かったよな」

「ううん。言ったでしょ、そういうのも気持ちいいって。一生消えなくてもいいくらい。私が大輔のものだって印だもん」


へらり、と微笑んだ歩が愛おしくて、俺は今度は歩の唇に吸い付いた。

歩と俺の舌と唾液が絡んで立てる水音が、歩がくねらせる腰の動きが、歩が俺の背中に回した手の動きが、歩のとろりと潤んだ瞳が、俺の理性を失わせていく。


「ひゃんっ」


たまらずに、俺は歩をベッドに押し倒した。


「俺、今日止まれないかも」

「うん。大輔の全部、私にちょうだい」


また、俺と歩は口づけを交わした。

明日の午前は、自主休講でいいか。





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たまにこれからおまけSS出していきます。

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