第51.5話 報告

「ついにか」

「はい」

「おめでとう」

「ありがとうございます」


そろそろテスト期間に入ろうという季節。

息抜きに来たい人は来てもいいとの方針で、普通にサークル活動はある。

広橋の誕生日から3日後の月曜、練習後に和泉から報告が入った。


「しかし、マジでパンクするとはなあ。ウケる」

「仕組んでないですよね?」

「そんなわけあるかよ」


仕組んだと思われても仕方ないかもしれないが、本当に仕組んでいない。

そもそも、他人の自転車をパンクさせる趣味はない。


「ところで、折り入ってひとつ相談が」

「なんだ」

「……櫻木さんって、週何回ほど……その、されてるんですか」

「……なにを?」

「とぼけないでくださいよ、その……セッ――」

「言わんでいい、言わんでいい」


周囲の目がある中で、堂々とSワードを言わせるわけにはいかない。

ちょっとからかうだけのつもりだったが、大事故になる所だった。


「そういう話なら、また今度な」

「あの、緊急なんです」

「なんで?」

「……枯れるかもしれないです」


俺が何か口に含んでなくてよかったな、和泉。

もしそうだったら、毒霧を食らうところだったぞ。







「やったね、おめでとう」

「ありがとう」


歩が、和泉くんと付き合うことになったという報告をしてきた。

その顔は清々しく、とても晴れやかだった。

もしかしたら、週末は和泉くんとずっと一緒だったのかもしれない。


「で、ものはひとつ、相談なんだけど」

「なに?」

「真奈美ちゃんってさ、料理得意だよね」

「まあ、苦手ではないかな」

「またまた、謙遜しちゃって。あれで得意じゃないって言われたら、世の中の女子は形無しだよ」

「そりゃどうも。和泉くんの好きな料理でも教わりたい?」

「それもあるけど、今は大丈夫。それよりさ、精力のつく食べ物ってなにかな」

「……歩、まさか先週末……」

「……えへへ」


えへへ、じゃないわ。

こないだ私にドン引きしてたけど、こっちの方がよっぽどだわ。




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