二月十四日(日)

 こちらを深く掘り下げて話すようなことをしなかったと同時に、彼女のことを知ろうともしていなかった。

 彼女の好きな本を知らない。きっと読書が好きなのだろうな、という想像の域を超えることはなかった。しかも、国語がかなり得意らしいということは共通の友人から聞いた。古典が苦手だから、教えてもらうってこともできないことはない。でも、どこか格好悪い気がして嫌だなと思う。もしも彼女が数学を苦手としているなら、二人で教え合って、互いに補うってことができる。まあ、そんなこと分からないし、実現しないだろうけど。

 彼女が好いてくれている理由を知らない。これほど自分をさらけ出そうとしていないのに、何を見て、何を好きだと感じたのだろう。

 彼女を知るということは、同時に自分を知ることにも繋がるような気がしてきた。彼女への興味が、さらに自分の、自身への興味を引き出すようなものだった。

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