二月十三日(土)

 二人だけの時間を、心地よいと思うことは少なかった。会話がなされるべきときなんかは特に。二人で歩いているときもそう。電車に揺られているとき、会話は必須のものではないし、そういう会話から解放される時間って意外と少ない。二人の時間を、嬉しさよりも気まずいと感じる気持ちが大きかった。

 何を気まずいと感じるのか。

 まずは続かない会話の繰り返しというところからだと思う。二・三往復程度のものが常だった。話題提供のセンスがない、と言われればそれまで。いや、結局は原因の多くをそれが占めている。

 でも根本にあるのは、自分をさらけ出すことを恐れていたところにある。自分を語る、自分を知られるというのが怖かった。その会話の先に、嫌われるということがあったらたまったものじゃない。もしかしたら、別に格好良くも何ともない自分を、できる限り格好良く見せたかったのかもしれない。変なプライドがあったのかもしれない。

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