二月十二日(金)
僕たち高校生のデートと言えば、通学路を歩くことくらいだった。学校がある日は電車とスクールバスとで通学方法が違うため、それも数えられるくらいの回数だった。
お互い運動部に所属していて、土曜日だけは彼女も電車に乗ることになっていた。布団から起き上がるのは億劫な朝だが、朝日が差し込む電車に二人で揺られている時間は良いものだった。一瞬目を合わせるのも恥ずかしいくらいだから、電車内で会話はしなかったけれど。
「今日は何時まで」
「夕方かな」
「そっか、こっちは午前練」
「ふうん」
学校までの坂道を歩いて、それぞれの部室に足を向けるまでの間、そうやって続かない会話を繰り返していた。
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