二月二日(火)
君は、どんなときも、誰の前でも、ずっとにこやかに笑っていて、裏表のない人だった。こんな内気な人間に対しても、周りと区別せず、やさしい笑顔を向けてくれる。初めは、それが気恥ずかしかった。
どうして、と聞いてみたい。そう思わないでもなかった。でも、それは同時に恐ろしいことでもあった。あんなにも素敵な笑顔が向けられて良いのだろうか、許されるのだろうか。そういうことばかり考えてしまう。
いや、いやいや、許されるも何もない。彼女は何の気なしに笑っているだけだ。笑顔の意味を考えて、悶々とする必要はない。そもそも意味など何もないはずだ。きっと、そうだ。わざわざ「こんな内気な人間に」笑いかけようとしているのではない。
彼女にとっては皆同じなのだ。この彼もその彼も、あの彼女も、どの彼も。そのうちの一人に過ぎない。
きっと、きっとそうだ。
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